第五十九話 新しい概念

新しい概念が入ってきますと、何らかの拒否反応が生まれたりします。周囲を伺って、どうなんだろう? 興味はあるものの、なかなか進めない。恐らく、単一民族としての歴史が長い故の、自然な反応だろうと思います。ただ、全く拒否する事は無く、受け入れるのには、時間がかかるという事だと思います。多分、社会的判断と言いますか、ある一定の流れが必要だろうと思います。

その点、欧米では、人種が入り混じり、いろんな価値観が混在します。故に、新しい概念に対して、社会というより、個人が吟味して、それを良しと判断した場合には、すぐに受けれられる土壌があるように思います。個人主義の強さの現れかと思います。

デイセーラーという概念も全くそれと同じで、欧米では、今日、広く受け入れられ、高く評価されてきました。これまでのヨットの使い方、実際の動向、個人的な好み、環境等々を考えた時、デイセーラーを受け入れる方々は多く、レースしないからクルージング艇と、それしか選べなかった方々が、デイセーラーの出現によって、移行される方々がかなり多い様です。

恐らく、デイセーラーというヨットは、今後、世界的にある一定のシェアを確保するだろうという事は間違い無いと思います。ただ、日本では、様子見の時間が長い。それが、今の過渡期ではないかと思います。

あるオーナー、いつか遠くに行きたいと夢を馳せる。しかし、それは時が来た時に考えれば良い。今、できる事を楽み、将来はそれを楽しむ。その方が良いに決まっている。とのお話でした。第一、将来、今持ってる夢をそのまま変えずに持っているかどうかの保証はありません。今を楽しみ、将来も楽しむ。ごもっともでございます。

  
  アレリオン 28

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