第三十二話 デイセーラースタイル

ヨットをどのように考え、どのように使いこなすか? いろんなスタイルがあると思います。そして、誰もが、遠くへ行けば行く程に価値があるように考えます。それはそれで良いとして、デイセーラーのスタイルはもっと簡単です。もっと身近です。大変な事をしようなんてだいそれた事は考えていません。でも、面白く味わいたいと思っています。

想像するに、デイセーラースタイルは、ヨットが全てではありません。ヨット以外にもしたい事はたくさんあります。だからこそ、ヨットがたいそうな事とは考えていません。むしろ、気軽でなければならないと考えます。

時間に余裕ができたら、ロングクルージングという方法もあります。しかし、デイセーラースタイルは、もっと気楽です。人は旅行が大好きです。それなら、車や電車、飛行機なんかを使って旅行に行くし、それなら、海外だって気楽に行けます。かみさん連れて、温泉にも行きたいし、ご馳走を味わい、その日の宿の至れり尽せりのおもてなしを味わいます。また、友人と飲みに行ったり、ゴルフしたり、人に寄っては、テニスとか写真とか音楽が趣味という方もおられます。そして、そのうちのひとつがヨットです。

別にヨットを軽んじる気持ちはありません。でも、長く、気軽につきあいたい。だから、ヨットに過ぎる要求を持たない。だからこそ気軽になれます。しかし、セーリングやるからには、上質の味わいを得たいと考えます。セーリングに限らず、やる事は何でも、そこからできるだけグッドフィーリングを得たいと思います。

いろんな事をする中で、セーリングも趣味としてやります。たいそうな事はしませんが、やる時は集中して、最高のセーリングを味わ得る様に、それなりの学びもするし、工夫もする。何故なら、それが面白いからです。もちろん、ピクニックもするし、宴会もするかもしれない、近場へのクルージングもする。ただ、たいそうには考えてはいない、しかし、やる時はそれぞれを一所懸命やります。
他の事でも同じです。

マリーナに来たら、さっと準備して、気軽に出航、その日のセーリングを最高に味わ得る様に、ベストを尽くします。もちろん、その為には、自分が気に入った美しいヨットの方が気持ちが良いし、それを常に、ベストコンディションに保つよう維持します。わずか、2〜3時間のセーリングですが、それだけに、集中力を発揮して、濃厚な時を過ごします。マリーナに戻ったら、美味しいコーヒーを一杯。そういうスタイルです。

その為に、いずれは微風対策として、第三のセールも使いこなせるようにしておきたいし、リーフも使いこなせるようにしておきたい。それだけで、かなりのセーリングを自由自在に味わう事ができる。技量なんて、長年の間に徐々に上手くなっていけば良いわけで、焦る必要も無い。

技量もさることながら、セーリングはヨットの性能に負う処も大きい。ヨットの性能、質が高ければ、誰でも、それなりのセーリングが可能になります。ですから、ヨットの性能や質は重要です。ただ、ヨットの性能や質に負う処が大きいにしても、そのうえで、自分の技量が高まれば、その分、もっと面白いセーリングを深く味わう事ができる。

これらの事もたいそうな事ではなく、もっと気軽です。デイセーラーのスタイルは、気軽に、軽快に、美しいヨットを美しく走らせる。 その為には、自由自在セーリングが必要です。そして、デイセーラーなら、誰でもそれが可能です。

これから、クルージングに出かけるなら、それなりの準備が必要です。でも、散歩したり、ピクニックしたり、或はスポーツしたり、そういう事には何の準備も必要ありません。そのうえで自由自在にセーリングを堪能できたら、しかも、セーリングの深さを少しでも味わえたら、こんな良い事は無いと思います。気軽で、軽快で、それでディープなんですね。

それがデイセーラースタイルです。スポーツカーを乗り回して、ドライブフィーリングを味わうのと同じです。ならば、やはり美しいヨットの方が良いし、性能が良いのが良い。セーリングの質が高い方が良い。自分の技量はゆっくり磨いていけば良い。技量が高まるに連れてもっと面白くなっていきますから、ずっと遊ぶ事ができます。そういうスタイルがあっても良いのではないでしょうか? もっと気軽にセーリングしませんか?

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