第二十七話 不況?

世界的な経済不況? ヨット界も苦しい? でも、これには納得しかねますね。何故なら、パワーボートは増えてます。これにはどう言い訳するんでしょうか? 何故、ボートは増えて、ヨットは増えないのか?

ボートは多くの場合、釣りをされる。これは納得。ヨットより、ボートの方が釣りはし易い。でも、その他は? クルージング? ボートだったら、足が速いので、すぐに行けますね。ヨットは時間がかかります。仮に、50マイル離れた場所なら、ボートなら、例えば2時間、現地でゆっくり食事して、日帰りもできます。それがヨットなら、速くても片道6〜7時間、セーリングだったらもっとかかります。

では、キャビンの居住性? 最近のクルージング艇のキャビンはでかい。でも、これだって、ボートも同じ。ヨットにする特別な理由があるわけじゃない。という事は、一般的なキャビンの居住性とクルージングを考えたら、ヨットより、ボートの方が便利で、手っ取り早いという事になります。それに、クルージングも沿岸なら、燃料補給の心配もありません。まあ、ヨットの方が燃料代は安いですが。でも、だからヨットにするという理由は弱いと思います。

となると、唯一、ヨットが勝るのは外洋という事になります。燃料補給ができない、陸に寄らないクルージング。それならヨットの方に軍配が上がる。でも、そうで無ければ、いろんな面で、ボートの方が手っ取り早いと誰もが思うだろうと思います。また、一般的にヨットよりボートの方が高価です。でも、ボートの方が多い。経済的な問題じゃ無いと思われますね。

今から、ヨットかボートかと考える場合、以上の様な理由を考えても、一般的にはボートになる事が多い。これらの理由は誰が考えても、簡単に思いつきます。

ところが、ヨットは外洋クルージング以外に、もうひとつボートに勝るものがあります。それは、セーリングであります。こればかりは、ボートがどんなに逆立ちしても敵いません。ヨットなら、セーリングの味わいは、どんなヨットでも味わ得る。これなら、ヨットにする理由は明白です。ヨットで無ければならない事になります。

ところが、一般的にセーリングという感覚が理解されていないのかもしれません。何となく、優雅な感じはあっても、ボートの便利さ以上に魅力を感じていただけないのかもしれません。それゃあそうです、ヨットオーナーでさえセーリングしていないんですから。レースはあるかもしれません。でも、一般からしたら、レースは尚遠い。

何故、セーリングしなくなったのか? なのに、一般の方々に、セーリングを勧めても理解はされません。何はともあれ、現オーナーに、セーリングをもっともっと楽しんで頂きたいと思います。 新規参入者がどうこうでは無く、現オーナーに楽しんで頂きたいと思います。 楽しんであればこそ、新規参入者も増えてくると思う次第です。そうしたら、クルー不足も無くなるんだろうと思います。昔はいっぱい居たんです。

ヨットでセーリングしなくなったら、ヨットである必要性は無いばかりか、むしろ、ボートの方が便利で手っ取り早い。

何故、セーリングしなくなったのか? 気軽さが失われた、キャビンがでかくなり過ぎた、ヨットがでかくなり過ぎた、でかい割に休みが少ない。ヨットのでかさと休日の長さは関係があるんではないかと思ってます。休日が長いなら、走る距離が長いなら、でかいヨットでも、よし行くぞと決心して行けます。でも、近所でのセーリングに、よし行くぞというのは似合いません。

それは兎も角、セーリングを気軽に楽しんで頂きたい。そう思ってます。ヨットを選択するなら、セーリングしない手はありません。それこそが、ヨットがヨットである事の理由ですから。

次へ       目次へ