第九十六話 スーイスイ
| 自由自在に海をスイスイ走れたら、こんなに気持ちが良い事は無いと思いませんか？ もちろん、自分だけじゃ無くて、家族や友人を誘って、彼らに、彼女達に、そんな気持ちの良いセーリングを味わせてあげられたら良いなと思いませんか？ それがデイセーラーならすぐできます。 と言いたい処ですが、それ程、世の中あまくはありませんね。いくらデイセーラーでも、最低限のノウハウは必要です。でも、ひとつ言える事は、デイセーラーはその最短距離にあると思います。誰もが、最短距離で、そのス〜イスイのセーリングができるようになります。 ヨットの最初の難関はマリーナからの出し入れと言われます。でも、現物を見られたら解りますが、デイセーラーはそのサイズに対して、かなり風圧面積が小さいです。出し入れで難しいのは、風が好ましくない方向から吹いて来る時です。でも、風圧面積は小さいという事はその影響も小さいという事になります。そして、そのボリューム感からして、気持ちが楽に保てます。さらに、デイセーラーは舵効きがとっても良いのです。 多くのデイセーラーはライフラインを設置していません。必要無いからです。それだけ安定性が高いからです。さらに、コクピットから出る必要もありません。極めて安心、安全なんです。仮に、強風時、故意に大きくヒールさせても、サイドデッキを海水で洗うなんて事は、そうそうできるものではありません。腰の強さと浮く支点の問題です。 次は舵操作。基本的には大きく切らない。小さくです。大きく切ったら抵抗が大きくなるだけです。 セールを上げるのも、殆どウィンチ要りませんし、最後の部分だけですね。サイズのでかいデイセーラーは電動ウィンチが標準ですから、これはボタンひとつです。実に楽です。メインを上げたら、ファーリングジブを出して、行きたい方向に舵を切る。それだけです。 セールは風に押されて勝手に風下側に行きます。セールが風でバタバタしない程度に、シートを出すか引くと、それでOK。ヨットは滑る様に走ります。そのシートだって、舵を握ったまま、ひとりで操作できます。それがデイセーラーなんです。 タックするも、舵操作だけで、他は何も扱う必要がありません。という事は、操作は舵とメインセールとジブセールの各シート１本だけです。他の艤装は扱う必要がありません。これに慣れたら、ス〜イスイができます。本当です。いかなるクルージング艇よりも簡単に操船できます。 ただ、強敵は強風です。いくら安定性が高いと言っても、慣れるまでは強風は敵に思えます。だったら、もうひとつ、メインセールのリーフを覚えといてください。コクピットから出る事無く、たった 一本のロープでリーフする事ができます。 オーバーな、と思えるぐらい、思い切って、ジブセールも巻き上げてしまえば、かなりの強風でも安心できます。まあ、最初からそこまで無理して強風で走る必要はありませんので、セール下ろして、エンジンですぐに帰る事ができます。デイセーラーは気軽がモットー、気軽に帰る事ができますから、気軽に出す事もできるんです。 しばらくの間、この最も簡単なス〜イスイセーリングで自由自在感を楽しんではいかがでしょう？ ただ、操作は楽でも、まだ気持ちが、海と風に慣れるまで、多少の時間は必要かもしれません。誰でも、最初は緊張するものです。でも、しばらくは、これで遊んでみてはいかがでしょうか？ すぐに慣れていきます。 セーリングの基本は、舵で真っ直ぐ走る事と、セールに当たる風を逃がすか、もっと取り入れるかのどちらかです。それはシート操作で簡単にできます。風が強いと思ったら、すぐにリーフする。、それでもと感じるなら、すぐに帰る。そういうつもりで居れば安心です。 まずは、このセーリングを存分に楽しんで頂きたいと思います。 最も簡単な操作ですが、デイセーラーセーリングを充分感じていただけると思います。それで、少しでも慣れてきたら、シートの出し入れについて少し考えるように自然になります。もうちょっと出した方が良いかな？ と考えたりします。それが面白さです。 ここで、慣れて、自由自在感を感じてください。そして、誰かを誘って、ピクニックを楽しんでください。 家族はもちろん、全ての友人を、全ての知り合いを、誰でも彼でも誘って、ピクニックセーリングを満喫していただきたいと思います。スポーツカーで気軽にドライブに出かけるのと同じ感覚です。 |