第三話 パフォーマンス

デイセーラーはセーリングを楽しむのが第一の目的ですから、そのパフォーマンスについては、初心者にとっては操作し易いし、ベテランにとっても、そのパフォーマンスは面白い。ただ、そのデイセーラーにも幅があります。デイセーラー程その難易度の幅が広いヨットも、他には無いのではなかろうか?

舵を握って、セルフタッキングのジブシートとメインシートの二つさえコントロールすれば、簡単にセーリングができます。まして、ジブセールがセルフタッキングですから、実に楽にできます。しかし、速いヨットであればある程、すべき操作は増えていく。そしてそれが面白い。簡単操作でも良いし、あれこれやるのも良い。オーナー次第で、そのヨットのパフォーマンスをどれだけ楽しむかです。

一般的には、セール面積/排水量比が20前後で充分に楽しめると思います。微風に物足りなさを感じたら、微風用セールを一枚ファーリングにして上げておけば良い。この数値がグ〜ンと上がります。 この値が23〜25になりますと、スポーツ性は高まります。スピードも出ますので、強風時にはそれなりの対応をした方が面白さは格別でしょう。一般的にはこれ以上の数値を持つデイセーラーは必要無いかもしれません。しかし、現実には、30を超えるデイセーラーもあります。これなんかですと、微風でも速いし、強風でシングルは難しくなりますから、早目のリーフをする必要があります。しかし、リーフしても速い。時にクルーを携えてレースなんかも楽しむ方用と言えると思います。

デイセーラーはセーリングを軸として、セーリングを自分のものにして、自由自在に走らせて、その走りと、その走りに対する自分の操作をも楽しむ。それを面白く感じてきます。特別に速いヨットで無くても、デイセーラーは全てセーリングを軸に考えられていますから、セーリングが面白くなると思います。

遠くに旅をする事や、キャビンを別荘替わりに使いたいという方々以外、セーリングにどう向き合うかが重要になると思います。もし、自分ひとりで、自由自在に操る事ができたら、こんなに面白い事は無い。それを最も最短距離で実現してくれるのがデイセーラーだと思います。

デイセーラーの基本コンセプトはみんな同じです。違うのはそのパフォーマンス。スポーツカーでも、いろいろありますから、それと同じです。自分に合ったパフォーマンスを、自由自在に乗りこなして頂きたいと思います。

しかし、ひとつ。どんなに速いヨットでも、微風でもすっ飛んで行くわけではありません。微風だったらパワーも弱い。だからこそ、微風用のセールが活きる。中風は誰でも楽しめます。克服すべきは、或は、工夫すべきは、微風と強風です。そして速ければ速い程、強風にはそれなりの対応が要求されていきます。どれだけスタビリティーが高くても、速いヨットにはそれなりのセールが設定されますから、スポーツ性が高まります。それをどれだけ楽しめるかは、オーナー次第になります。
しかし、それでも、他のいかなるヨットよりも、楽にスピードを楽しめる事は間違い無いと思います。
デイセーラーはそういうヨットなのです。キャビンを犠牲にした価値は充分にあります。セーリングを楽しむ為なのです。しかし、レーサーではありません。あくまでシングルハンドを前提にしています。

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