第二十五話 メインテナンス

一生物のヨット、造りがいかに良くてもメインテナンスは欠かせない。ヨットのコンディションはそれにかかっています。気持ち良くヨットに乗るにも、しかも、そのヨットの性能を充分に発揮するにも、メインテナンスが重要になります。壊れたから修理するというのは必要ですが、より良いセーリングの為にもメインテナンスは必要です。

デイセーラーには、余計な物がありません。だから、メインテナンスも比較的楽です。その多くは、自分の目で見て、確認できます。セーリングしながら、セールが古くなって、調整しても、思うようにコントロールができなくなっているとか、或は、シート類が硬くなって使いづらいとか。これらは、セールフィーリングにおおいに影響しますから、セールが破れるとか、シートが切れるとか、そういう次元の問題では無く、より良きセールフィーリングの為に取り替え時期がきます。

デイセーラーはフィーリング重視ですから、気持ちの良いセーリングを味わう為にも、メインテナンスをして頂きたいと思います。何でも動けば良い程度では無く、スムースな方が気持ち良いですから、乗りっぱなしはいけません。

エンジンも同様です。オイルやフィルターを交換したり、そういう事をきちんとし続けたエンジンは古くなっても調子が良いです。全てはメインテナンス次第です。

そういう事をきちんと続けていきますと、自分のフィーリングが、そのヨットの良い状態というのを知らず知らずのうちに記憶する事になります。体に染み付いてくるとでも言いましょうか。だから、わずかな異変でもすぐに気づく様になります。船底がほんのわずか汚れてきたとか、ちょっとした変化に気づきます。だから、自分のフィーリングがバロメーターとして働きます。

逆に、多少いい加減なメインテナンスで、船底が汚れていたりしてもそのままにしていたりしますと、そういうコンディションを覚えてしまう事もあります。だから、ちょっとぐらいの異変には気づきません。それは、セーリングにおいても同様だと思います。グッドフィーリングを求めながら、実際は自分のフィーリングを阻害しています。

自分のヨットをグッドコンディションに保ち、そのグッドな状態を味わい続ける事によって、自分のフィーリングもそのレベルになっていきます。知らず知らずのうちに、自分の感性レベルも磨かれている事になります。

メインテナンスはヨットの為であり、同時に、自分のフィーリングをより良く保つ為でもあると思います。良い状態に慣れるのと、悪い状態に慣れるのとでは、セーリングから得られるフィーリングは雲泥の差になってしまうのではないでしょうか?

気持ちの良いセーリングを目指して下さい。メインテナンスはヨットの為であると同時に、自分の感性の為でもあります。

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