第37話 ヨットを3倍楽しむ

美しさというのは主観的ですから、それぞれに持つ感覚の違いで一概には言えま
せん。でも、結構共通した感覚もあるものです。上の写真、実に良い雰囲気だとは
感じられませんか?コクピットでコップ片手に読書をしているオーナー、なかなか
日本では見られない光景ですが、恐らく、彼は自分のヨットが好きで、手入れも楽
しみ、セーリングを楽しみ、そしてヨットで過ごす時間も楽しんでいると思いますね。

小型ヨットの楽しみというのは、こういうところにもあると思います。ただ走るだけな
ら、手入れのあまりかからないヨットという事になりますが、こうやってたくさんの
木材を使ったヨッは何十年たとうが、手入れ次第でどんどん美しくなります。

キャビンも狭いし不便さが充満しているのではないかと思いますが、でも非常に
暖かい感じがします。心和む感じがします。セーリング性能や乗り心地というの
も大切ですが、同じように美しいヨットである事も大切です。何故なら、美しい
ヨットは自分で手入れしたくなる。自分ですると、自分のヨットに習熟します。
習熟するとヨットをほったらかしにはできなくなります。ほったらかしにできないから
ヨットを楽しめるのです。

セーリングして楽しみ、メインテナンスをして楽しみ、空間を過ごして楽しむ。
ヨットを3倍楽しむ方法です。人は便利さや快適さを求め、あれもこれもと要求
します。でも、最も大切な事は自分の感覚です。心の底から自分が求める感覚
を一番に持ってくる事が重要です。これさえあれば、多少不便だろうが、気にな
らないものです。ヨットを理屈で見るより、感性で見てください。感覚は理性より自
分自身を良く知っています。

コクピットのニスも美しい。これだって、年に1回、軽く表面をサンディングして、軽
くニスを塗るだけでいつでも美しい状態を保てるのです。誰だってできます。手入
れが大変だと思うから大変なので、手入れが楽しくなれば、ヨットはもっと楽しくなる。

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