第七十八話 セーリングファン

ヨットはセーリングを楽しむもの、セーリングを主軸にした運営を考えます。何故なら、セーリングは日常的にできる事であり、それに対して旅には時間が要求され、たまにしかできないからです。
ただ、ウィークエンドの一泊程度の旅もあります。それならしょっちゅう行ける。確かにそうですが、
一泊で行ける範囲は狭いし、行ける箇所もそう多くは無い。となると、いつも同じ処では飽きもする。ならば、やっぱり、クルージングを楽しむには、もっと時間が必要になります。それは日常生活を考えるとそう簡単な事では無い。だから、年に1回とか2回とかにならざるを得ません。

という事で、セーリングならば、1日の内の短い時間で楽しむ事ができる。そうならば、そのセーリングをいかに面白くできるかを考えます。よって、シングルハンドという事になり、ハイパフォーマンスという事になる。

20フィートのヨットだろうが、50フィートのヨットだろうが、セーリングが面白く、日常的に楽しめる事、そのうえで、旅をどの程度するかを考える。あくまで主役は日常的セーリングを楽しむ処にあり、キャビンや旅やレースは付随的に考える。そういう考え方をしています。

ウィークエンド程度の旅であるなら、デイセーラーがお薦めですし、たまにでもロングの旅を想定するなら、アルコナヨットをお薦めしています。

ハイパフォーマンスのセーリング、そして、安定感、セーリングにおけるフィーリング、操作性の良さ、そして、船体形状、硬さ、等々からくる全体のフィーリング。それらをいろんな状況で深く味わっていく。

多くの場合、旅におけるヨットは交通手段になっている。時間通りに到着できるようにエンジンで走る。その時のセールはあまり考える必要が無い。ならば、セールはどんなセールでも良いという事になります。特に、沿岸の旅で、エンジンで走り、その日の暗くなる前にどこかの港に入るという、最も一般的な旅であるなら、ヨットは純クルージング艇である必要も無い。

その変わり、日常セーリングを面白くするために、セーリングを考えます。スピードを求めるセーリングをしつつ、その時のフィーリングを味わう。そこを楽しむ。

フィーリングの要素には当然スピードも含まれますから、重すぎる、遅すぎるというのは、面白さにはならないかと思います。よって、ハイパフォーマンスである事が必要になる。しかし、スピード感というのは実に曖昧で、ヨットによっては、他のヨットより、スピード感を与えてくれるヨットもあります。
その感は大事にしたいですね。

スピードを求める操作をして、より効率を考えトリミングしたりします。その操作を通じて、グッドフィーリングを得る事が最重要テーマです。それが、レースでも無い、旅でも無い、純粋なセーリングを遊ぶ方法ではないかと思います。

これに面白さを得るならば、デイセーリングがもっと面白くなるだろうし、たまのレースやピクニックにおいても自由自在に操作して、その面白さを得る事ができると思います。ただ、レースにおいては勝負ですから、優勝するという事にこだわると、感を犠牲にして、スピードを求め続ける事になりかねませんが。まあ、好みの問題ですが。

何かを求め続けると終わりが無い。レースだって、ひとつのレースは完結しますが、また次のレースもあるし、デイセーリングにおけるフィーリングにしても、様々な状況があるわけですから、すべてを体験し、全てのフィーリングを得る事はできない。だからこそ、永遠に続ける事ができる。旅もしかり。その永遠の何かを主たるテーマにするわけですが、当社としては、セーリングとそれにおけるフィーリングをテーマと致しました。だから、レースも旅も主に対する従という考え方で、それに応じたヨットの選択をしています。

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