第六十六話 セーリングのノウハウ

セーリングには、真っ直ぐ走っていて、その状態で効率良く走らせるノウハウがあり、また、全体を見て、いつタックしたら良いのか、どういうコースを取ったら良いのかというノウハウもある。これはいわゆるミクロとマクロの関係かもしれません。

ミクロでは、セールトリミングや舵に注意を払いますが、同時にセーリングには、全体としてのセーリングもある。レースはその両方を考慮してなされますが、レース以外のセーリングではミクロ的になりがちです。それはそれで、慣れて腕を磨く必要はある。しかし、全体を考慮する時が来る。

適当にタックしたり、進路を変える事もありますが、それを意図して、ゲームとして変更するなら、それはゲームの要素になる。何故、そこで進路変更をするのか? 自分なりの根拠を持てれば、それはゲーム性が高くなる。それは面白さにも繋がる。

だから、セーリング操作にある程度慣れてきたら、そういう全体のセーリングという事もゲームに加えた方が良い。ある目的地があって、そこに効率良く進むには、右からアプローチした方が良いのか、それとも左なのか?それを考えるには目的地に対しての風向を考慮する事になります。そして、さらに、その風向が変わったら、タックしてアプローチを変えた方が良いかもしれない。

こういう思考は、ゲーム性を高める手法です。レースではみんながやっている事。でも、一般セーリングではあまり考慮されない。だから、敢えて、そういう全体セーリングも考えてみてはどうでしょうか? スポーツセーリングをするなら。解らずにやるならゲーム性もへったくれもないが、解ると面白さになる。まずは、それを考えてみてはどうでしょうか?

その為には、常に風向という事を考えねばならない。どこから風が吹いているのか? これはセーリングの全体の構築を左右する。これに対して風速は、今のコースにおける効率を求め、セールを操作する。という事は、風速はミクロ的であり、風向はマクロを支配する。

幸いにも、風向風速計というものがあります。その計器からは、見かけと真の風向や風速を簡単に知る事ができる。但し、スピード計も一緒に連動しないと、真の風向風速は解らない。よって、できれば、その両方を設置しておきたい。

さらに言うなら、自分のヨットが何度でタックできるのかという角度も知りたい。その角度は風速によっても異なりますが、そのヨットの性能によっても異なる。一般的には90度が目安。つまり、真の風向に対して、45度で上る。その45度が目的地に対してどういう関係にあるか?目的地から風が吹いてくるわけでも無いし、それに風向は変化もする。それを知るには、風向風速計は面白いおもちゃにもなります。

クルージングにとってはGPSは最近では必携になっているかもしれませんが、セーリングには風向風速計とスピード計を設置したら面白くなるかと思います。自船の位置と、目的地の位置とその角度、それに対しての風向。目的地が真北の0度だとすると、風向が10度なら、左からアプローチした方が効率的です。その風が20度になったら、もっと上れる。しかし、風が350度にシフトしたら、タックした方が良い。ちゃんとタックの根拠ができる。

セーリングは頭脳プレーでもありますね。風速においては感覚を楽しみ、風向においては知力を楽しむ。目的地が無くとも、コンパス方位を軸としても良い。感性と知力をプレーする。これはピクニックとは違います。レースで無くても、そういう遊び方をしても良いかと思います。

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