第五十一話 TPP

再び浮上してきたTPPの問題。ヨットの関税は無いので関係は無いですが、でも、日本全体の事ですから気になります。このTPPには様々な立場で、様々な意見があります。しかし、これってどうなんでしょう?

単純に考えます。ヨットレースでもそうなんですが、何故、レーティングがあるのか?そういう事から考えますと、国の事情が違うのに、全部同じルールで良いのか? 各国のレーティングは必要無いのか? これでは単に弱肉強食で、どこが勝つかは目に見えていないか? ユーロ圏を見てみますと、強いドイツが勝ち、弱いギリシャが負ける。当然の成り行きではなかろうか?

強国はもちろんアメリカ。交渉してからの話というのもありますが、交渉力からして、過去のプロセスを見る限り、日本が有利に持っていけるとは思えないが? アメリカはカナダとメキシコにも同じような協定を結んでいる。それで、訴訟になった時、カナダやメキシコは、これまでに一度もアメリカに勝った事が無いそうだ。もちろん、アメリカはある。訴訟大国と言われます。

いろんな意見があるのでしょうが、事情はそれぞれお持ちでしょうが、全般的に見て、日本が有利になるのは難しく思える。アジアの成長を取り込むという意見もあるが、物価水準、賃金水準から見ると、このアジアマーケットを取り込むには、現地生産になる。そうなると、日本はますます空洞化するのではなかろうか?

日本はルールの前に、国民が和をもって尊しとなす とか 謙譲の美徳 とかを持つ国民性ですから、交渉力に期待できるのかどうか? それに、既に長い間話し合いがもたれてきたわけですから、それら決まった内容はそのまま受けざるを得ないだろうし、今更、引っ掻き回す事は無理があるような気もします。

日本は相手国のルールに従って、それを乗り越えて輸出をしてきた。それを相手国のルールを変えて、輸出を伸ばそうと考えるのは、ちょっと違うのではなかろうか? 平成の開国とか言いますが、日本は既に大きく開かれている。一部の関税は確かに高い。しかし、平均でみると、先進国中でも下の方。

考えてみれば、あっちこっちから非難され、賠償金を払ったり、援助したり、年次要求に従ったりしながら、それでも、日本は発展してきた。これは驚異的な事。これが本当に自主独立しちゃうと、これこそもっと驚異になるのかな? 外国から見ると。震災時の国民の礼儀正しさや、国民の勤勉さ。これこそが、日本の驚異なのでしょう。だから、昔、欧米は日本を指して、働きすぎと言った。エコノミックアニマルと呼んだ。労働者を搾取しているとも言った。でも、根本は違う。

そう言えば、昔々、アインシュタインが語った言葉。 世界はいろいろ混乱して、いろいろな事が起こるだろう、しかし、その果に、最後に世界を救うのは日本だと言ったとか。おべんちゃらとも取れるが、あながち的外れでも無いような。

昔から自虐的な日本ですから、ちょっと見直しても良いんじゃないかと思う次第です。日本人が自分の国を貶めては、他国はそこにつけこむ。少なくとも、日本に日本人として生まれ、ここに生きる限り、もっとちゃんと見た方が良いのではなかろうか。

それで、TPPはどうなるか? そう言えば、昔、ヨットには15%と30%という高い関税がかけられていました。この違いはサイズによるわけですが、もう20年ぐらい前の話です。TPPは関税のみならず、あらゆる分野に及ぶ日本の自主権の問題ですね。ここは慎重に願いたい。

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