第二十八話 知る事

使いこなしのプロセスを遊ぶと同時に、自分のヨットの各部を知る事は非常に重要であります。現物を目の前にしなくても、頭の中で、自分のヨットぐらいは、想像できるぐらいにした方が良い。知り尽くすつもりで。他人のヨットはどうでも良いですから、自分のヨットだけで良い。

誠に残念な事に、結構な方々が、自分のヨットについてあまり知られていない事があります。電気やエンジンに熟知する事は難しいとは思いますが、少なくとも、目で追っていける艤装等については、熟知する事はそう難しくは無いと思います。また、艤装に限らず、船内の装備についても同様です。他人のヨットは兎も角、少なくとも、自分のヨットだけは熟知したいものです。そして、自分のヨットを熟知すれば、他のヨットも同じような理屈でできてますからすぐに解るようになります。

熟知すればこそ、何かの不具合も大事に至る事無く対処できるでしょうし、何かがあっても、どこを見れば良いのか、どういう風にその箇所を探っていけば良いのかも分かってきます。これは、自分にとって非常に強い味方になります。

ヨットをいかに走らせるかも重要ですが、自分のヨットのどこがどうなっているかを知る事も重要であります。ですから、装備が多いヨットは、それだけ知るべき事が多くなります。という事は、ほんのたまにヨットに接触する程度では解らない。或は、一旦分かっても時が経つと忘れてしまう。そういう事があります。ですから、できるだけ頻繁に関わって、隅から隅まで知ろうとする事が必要かと思います。知る事が自信になり、自分の味方になってくれます。

そういう意味では、シンプルな装備は簡単でありますね。ロングクルージングに行くようなヨットは装備がたくさんあります。でも、ロングに行ける暇があるわけですから、知る時間もあるという事になります。自分のヨットぐらいは、現物を見なくても、頭の中で、どこがどうなっているかぐらいは想像できるぐらいにはなりたいものです。

それでも、熟知したつもりでも、やっぱり何か解らない事が起きる事もあります。これは一体何だろう?人に聞いて、自分の知識を総動員して、調べて、謎を解く。ベテランとはそういう人でしょうね。
多くの経験を通して、より多くの事を知っている。年数だけの問題では無いと思います。

自分のヨットの内外に精通して、使いこなして、そしてさらに洗練させていく。少なくとも、自分が観察する事で理解できるであろう事は全部知っていただきたいと思います。電気は見えません、エンジンをオーバーホールしようという話でもありません。でも、できるだけ知った方が自分の為に良いわけですから、知れば知る程に安心でもあります。保険みたいなもんですかね?本当の保険よりも、いざという時は頼りになります。

知る事はトラブルに対応できるばかりか、セーリングにおいても、応用が効くようになれる。そういう事を育てていきますと、きっと面白さの質も違っていくのではないでしょうか?解っているという事は、自分自身を別次元に上らせていくと思うのですが。

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