第二十六話 セーリングとキャビン

ヨットはセーリング機能と家的機能の両方を持ちます。どっちに重きを置くか? 当社としては、セーリングに重きを置いて、お薦めしております。この二つの要素は相反する機能で、セーリングをもっと高めるには、キャビン機能を下げ、キャビン機能をもっと高めるには、セーリング機能が下がる。この両方をも求めるには、ヨットのサイズを大きくする事となり、そうなると、シングル操作なんかは難しくなるかもしれません。

キャビンを大きくします。家的に見ますと、それは快適な事になり、広ければ広いだけく寛ぐ事ができます。しかし、一方では、重くなる、重心が高くなる、風圧面積も大きくなるという具合です。それで、長さを長くする事によって、つまり、サイズをでかくする事によって、キャビンを確保しつつデメリットを少なくさせる事もできますが、今度はサイズをでかくした事によって、動かすのが大変だという事の物理的な側面もあるし、気持ち的な負担も出てきます。

でかいサイズのヨットは、一旦出たら遠くに行くとか、そういう場合は、大きさから来るマイナス面よりも、でかいが故に楽になる部分もあります。しかし、デイセーリングにおいては負担もあります。その物理的な解決としてジョイスティックによる操作という方法もありますが、でも、まだ心理的負担は完全には解消されないのではないかと思います。

という事で、ロングクルージングに行く事を主体とするなら、でかいヨットの方が楽ですし、広いキャビンの方が泊まるには快適です。でも、デイセーリングや、近場が多く、主になるなら、キャビン重視よりも、セーリング重視の方が良い。どっちが主になるか次第だと思います。

デイセーラーはデイセーリングに最高だと思いますし、クルージングにしても近場とか、或は、宿泊をホテルにするとかならば、日常のデイセーリングを中心におきますと、最も有用性が高いと思います。さらに、日常をデイセーリングにするにしても、クルージングにおいてはロングも有り、ホテル泊まりよりキャビン泊まりを考えますと、ハイパフォーマンスクルーザーが良いと考えます。

それで、通常のクルージング艇ですが、これはやっぱり、クルージングを主にして、キャビンで寝泊りを続けながら、転々と旅を続ける処にこの有用性があると思います。もちろん、それ以外にも使えますが、主たる有用性を考えた場合はそういう事になるかなと思います。

それで、最も多い沿岸用クルージング艇としては、クルージングの旅を主とし、日常はどれだけ欧米人のようにキャビンを使えるか?そこを考える必要はあるのではなかろうか?デイセーラーやハイパフォーマンスクルーザーは、セーリングを主として考える必要があるかと思います。

キャビンを欧米人のように使える方法は、特に無い。気持ちの問題、民族性の違い、慣習の違い等々です。それは個人によっても違いますから、何とも言えませんが、少なくとも、日本人は得意では無いように見えます。ですから、セーリングを主にといつも同じ事を言っております。という事は、セーリングが重要なのであって、そこに面白さを見つけた方が良いと思いますし、そうなると、キャビンは従という考え方の方が、良いのでは?

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