第二十一話 欧米との違い

欧米人と日本人では、まず遊びに対する意識が違います。すると、当然ながら、遊び方も違いますし、そういう歴史があるわけですから、環境も違う。前に、ヨーロッパ企業が長い夏休みがあると書きましたが、それが当然の社会です。日本では考えられない。それで、昔、日本人は働きすぎとか言われて、土日が休みになったり、たくさんの祝日を設けて休みを多くしてきました。

多分、年間の全ての休日を足し合わせると、決して欧米より少ないとは言えないのではないかと思います。ところが、日本では、数週間連続休みというのが難しく、飛び飛びで、3日連休とか、4日連休とか、そういう飛び飛びなんですね。そういう背景があると思います。

年に1回でも、1ヶ月休みだとしたらどうします? それが当然で、普通の事だったらどうします?もちろん、来年からそうしますでは、急な事なので、何をしていいか解らないかもしれませんが、そこに長い歴史背景があって、それこそ普通の事としてみなされるようになったら、どうします?

それゃあ、日本人だって、遠くへクルージング行けるし、でっかいキャビンで何日か泊まったり、別荘替わりに使ったりするでしょう。つまり、欧米ヨットの背景には、そういう環境が続いてきて、今日に至ったかと思います。だから、日本人と欧米人は、使い方が違って当然な事であります。

だからこそ、我々日本人は、我々のスタイルに合った遊び方をした方が良いという事であります。

その欧米スタイルに、デイセーラーという新しいスタイルが生まれ、欧米に広がってきました。 ここ20年ぐらいの事です。その欧米人にしても、でっかいキャビンをみんなが望んでいるわけでは無いという事になります。そして、このデイセーラーは、セーリングを重視し、シングルハンドの容易さを重視し、遠くへのクルージングとか、寝泊りの快適さとかを犠牲にはしたが、その代わり、セーリングを気軽に楽しむ事を取りました。これこそ、日本スタイルに合うと思った次第です。

普段は気軽なセーリング〜真剣なセーリングを堪能し、短い飛び飛びの休みには、近場のクルージングを楽しむ。そういうスタイルです。そうなると、真剣セーリングがクローズアップされます。ただ、気軽にピクニックを楽しむのも良いが、より趣味的志向を増すならば、この真剣セーリングであります。空間的には、狭い範囲で良いが、より深く掘り下げて堪能のレベルまで行ける。これは勤勉な性格を持つ日本人にも合うのではなかろうか?井の中の蛙、大海を知らず、されど、空の高さを知るとか、空の青さを知るとか、いろいろありますが、要は、そういう考え方もできるという事であります。

遊びに対する認識の違いから、歴史における環境の違いから、日本でヨットをやるのは、なかなか欧米のようには行きません。多分、欧米に住んでいた方が、楽しさという面ではより楽しさが味わえるのではなかろうかと思います。マリーナに行って、その周辺にたくさんのレストランや映画館や、遊ぶ施設もある。そこはリゾート地であり、社交の場でもあります。しかし、日本にはそれらが無い。という事は、同じようにしては遊べない。

それで、ヨットをしないと決めるか、それでも、すると決めるなら、空の青さ、高さ、深さを知りましょうという具合です。それで、セーリングを探求しましょうという話に繋がっていきます。自分なりのペースで良いし、それで、何もプロになろうという話でも無いわけですから、少しづつ、セーリングの謎解きゲームをしながら、深く味わっていきましょうというお話です。これが日本人スタイル?

恐らく、世界のヨットマーケットを支えているのは、レジャー的ヨットの活用ではないかと思います。そのレジャー的活用が、欧米人は上手ですし、マリーナ環境も違うし、海岸施設も違う。日本では、このレジャー的活用においては、乏しい環境にありますので、オーナーに勝手にやってくださいと言ってるようなものです。だからこそ、勝手にやって、面白くしなければなりません。

求め始めたら、日本人は徹底しています。それが仕事であっても、喜びを感じます。それが我々日本人のDNAであります。という事は、そのDNAを使って、思う存分堪能しましょうという事であります。そこには、良い事も悪い事もあるかもしれませんが、そうやって生き甲斐や喜びを感じるのが我々ではないかと思います。もちろん、レジャー的な楽しみ方を併用しながらです。

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