第九十二話 それなりの乗り方

自転車には、ママチャリのような、近所に買い物に行ったりするのに良い自転車もありますが、オフロード用とか、スピードを求める自転車もあります。ママチャリでお買い物以外にも使えますが、どうも具合が宜しくない。

それと同じで、ヨットにもいろいろあって、どんなヨットでも何でもできます。しかし、例えば、外洋艇で重く、鈍く、ごついヨットで、ちょっとピクニックとか、レースとか、可能ではありますが、どうも具合は宜しくない。

そのヨットにはそのヨットが最も相応しい乗り方があります。それ以外でも可能ですが、どうも具合が宜しくない。それで、コンセプトという考え方が生まれます。外洋艇は外洋を走るのが得意で、そこでそのヨットの性能を発揮する。長い距離を走って、やっぱり違うなと思わせてくれます。レーサーはレースをする事で、その性能を発揮する。

デイセーラーやハイパフォーマンスヨットは、セーリングをする事でその良さが解り、クルージング艇はクルージングをするのが得意です。ですから、それ以外で使う時は、ちょっと劣るのは仕方ない。

そこで、デイセーラーやハイパフォーマンスクルーザーは、セーリングを楽しみます。でも、本格レーサーのような鋭敏さはありません。あっても困る。ですから、レースも楽しんで良いわけですが、本格レーサーにはかなわない。でも、ハイパフォーマンスですから、通常のセーリングはもちろん、それ以外でも、ピクニック的なセーリングでも、より帆走を楽しむ事ができる。気軽でもある。

という事で、セーリングを求めるヨットです。セーリングに面白さを求めるヨットです。当たり前過ぎて済みません。

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