第四十話 流れ

30年をかけて、クルージング艇が広がっていきました。もちろん、レースもありますが、全体の流れとしては、レース人口は減少し、クルージング人口が増えてきたのではないかと思います。これが過去30年の流れではないかと思います。

それで、どうなっていったか? 動かないクルージング艇がたくさんマリーナに繋がれています。別に、クルージング艇が駄目では無いのですが、ただ、そちらの方向に流れ過ぎたのではないかと思います。クルージング艇というヨットが、日本の現状に本当には合わなかったのではなかろうか?それが実情では無かったかと思います。そんなはずでは無かったのでは無いでしょうか?

以前に、何度も書きましたが、欧米では、そのクルージング艇で、あっちこっちみんな旅をして回っているかというと、そういう事も無く、それでは何かと言うと、ヨットに泊まるという別荘的使い方をしてきた。それはそれなりに役にたったと思われます。ところが、日本では、そういう習慣が根付かなかった。それで、マリーナに行きましても、週末は比較的賑やかですが、明日が休みでも、みんな家路につくわけです。

という事は、欧米のクルージング艇というヨットのスタイルが日本人には合わなかったのではないか?そういう気がします。日本人は器用と言われ、欧米の文化を取り入れるも、ちゃんと自分スタイルに昇華しながら、使いこなしてきたと思われます。しかし、ヨットにたいしては、今の処ですが、それがうまくいっていないようば気がします。

そこで今度は、どうやったら、日本人に合うスタイルを見つけられるか? それがこれからの課題ではないかと思います。スタイルは何でも良いんですが、より多くの人達が、馴染めるスタイル、楽しめるスタイル、そういうものは何か? もちろん、個人的に、独自のスタイルを持って楽しめてる人はそれで良いし、クルージングの旅を楽しんでいる方はそれで良い。でも、全体としての日本スタイルのメジャー的なスタイルは何か?

それで、デイセーリングに可能性を見ているという事です。これは何も、現在のデイセーラーに限るという事では無く、デイセーリングです。つまり、メジャーな使い方として、デイセーリングを主体としてより多くの人達が、もっと気軽にヨットを楽しむ。それが主体になった方が良いのではないかと思っています。

デイセーリングですから、小さなヨットでも良いし、大きなヨットが好きな方はそれも良い。つまり、使わない大きなキャビンをそんなに重視しなくても良いんじゃないか?キャビン不要なんて言いません。キャビンはあった方が良い。でも、そんなに重要じゃないという考え方です。デイセーリングを楽しむに、どんなヨットが良いのかという事です。

例えば、マンションの3LDKとか4LDKとか、そういうのでは無く、ワンルームマンションでも良いじゃないか?そのワンルームが多少広くても狭くても良いわけですが、これはあくまで比喩ですが、中がどうなっているかより、外がどうなっているかをもっと見て、もっと気軽に、頻繁にヨットと遊べる方向に持っていった方が、我々はもっと楽しめるのではないか?

そういう近所での遊びにたいして、人口が増えれば、海岸沿いにいろんな設備が整うようになるかもしれません、2時間程度走って、セーリングを楽しんで、どこかに寄って、飯でもとか、そういう事も可能になりますし、人によっては、外洋クルージングに向かう人達も出てくる。レーサーに興味を持つ人も出てくる。そのベースはデイセーリングにあると思う次第です。

日本一周をする事は大変な事ですが、それが日本人の主たる目的にはならない。しかも、10年も20年も続けるにおいて、この長い時間を、楽しく、面白くすごしたいわけですから、主たる目的はもっと身近におくべきではなかろうかと思います。

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