第二十五話 ジェネカー用ファーリング

ROLLGENのファーリングシステムを取り扱っていますが、このメーカーではセール面積が100u以下までというのが、最も小さなサイズになります。多分、35フィートヨットぐらいまで使えるのではないかと思います。ですから、もっと小さなサイズのヨットには、ちょっとごつい感じがしますし、それに重さという事もあります。

前話でご紹介したドイツ製のバーテル社のファーリングシステムは、小型艇のファーリングドラムがあり、最小サイズでは50u以下、ドラム直径は86mm、コンパクトです。実は、もっと大きなセール用のドラムもありますが。

それで、小型艇のヨットの方々には、このバーテル社のファーラーがお薦めです。ちなみに、同社のホームページ を覗いてみてください。いろんな艤装品があります。

ジェネカーファーリングを設置するには、ジブファーラーのドラムと干渉しないように、前側に突き出す必要があります。それにパルピットにも当たらないように。これがいつも難点で、各ヨットによって、形状が異なりますので、これは地元の業者の方にご相談していただかなければなりません。

それから、エンドレスロープは、セーリング中に巻いたセールが開かないように、固定する必要があります。クリートにかけるか、カムクリートを設置して、そこにかけるかです。或いは、パルピットに結んでおいても構いません。とにかく、ドラムにロープのテンションをかけて、回転しないようにブレーキをかけておくという事になります。

巻く時の注意は、セールをぶかぶかに巻かないようにする。ある程度の風があれば、セールがばたばたなびきますから、良いかもしれませんが、そうでも無い時はシートにある程度のテンションをかけながら巻き取る。これはジブファーラーも同じです。ある程度タイトに巻いておかないと、セーリング中にバタつきますから。そして、シートを多めに巻いておく。そうすれば、ジブセールで走る時に、シートが邪魔になったらいけませんので、多めにグルグル巻にして、下に垂らす。ドラムはエンドレスロープにテンションをかけて回転しないようにしておく。

ジャイブは、フォアステーとの間をすり抜けさせるのはかなり困難になりますから、外回し。通常のジェネカーと同じです。これをひとりでやるのは結構難しいので、一旦巻き取って、ジャイブして、再度展開する。これはファーリングならではのやり方ですね。

注意点をもうひとつ。ドラムは突き出して、ジブファーラーやパルピットに干渉しないようにと申し上げましたが、それはハリヤード側も同じで、フォアステーにハリヤードスイブルが接触しては、回転の邪魔になりますので、ハリヤードに接触しない様に離れている必要があります。もし、あまりにも
フォアステーに近いようであれば、それを引き離す艤装もバーテル社に用意してあります。
ちなみに、ハリヤードスイブルの直径は22mmですから、たいした大きさではありません。

必要な部品は、ドラム、その下にスナップシャックルを付けると便利かと思います。それにハリヤードスイブル、三穴三角プレート2枚です。三穴三角プレートをセールメーカーに渡して、ラフの補強時に設置してもらいます。そしてセールをジェノア的ジェネカー(スピン生地)で作るというのが私のお薦めであります。また、セールを上げた時に、ハリヤードが長く出ていますとハリヤードが連れ回りする可能性が高いので、ハリヤードがあまり出ないように。その分セールのラフは長くなります。

  セールのラフ上下に、写真のように縫い込
  んでもらえば良いかと思います。三穴+
  補強用ベルト的な物を接続できるスリットが
  あります。ちょっと汚れたピンク系のひもは
  関係ありません。

  ドラムと三角プレートの間にもスナップシャ
  ックルを設置する事も可能です。セールから
  ドラムを簡単に外せます。でも、まあ、そこま
  では必要無く、セールバッグに、ドラムも一
  緒に放り込んだら良いのではと思います。

  尚、ここでご紹介したシステムはセール面積
  が50u以下ですので、それ以上ある場合は

システムが少し大きくなります。ちなみに、70u以下で、ドラム直径は115mm、100u以下で
直径150mm、200u以下で、直径180mm、400uで、直径180mmと、何と400uのセールエリアまでシステムが用意されています。まあ、こんなにでかいセールを使うのなら、クルーも居るでしょうし、それなら、性能の良い通常のジェネカーをソックス形式で使った方が良いかなと思います。要はクルーが居るか、居ないかの事です。

  最小サイズのドラム、写真のようにコンパク
  トです。ドラム下にスナップシャックルを付け
  ています。ドラム上下の内側が狭くなってお
  り、エンドレスロープにテンションをかけると
  内側に食い込んで、しっかりとドラムを回す
  或いは、固定する事ができます。それに、
  エンドレスロープのガイドもついていますので
  引く角度はあまり気にしないで良いかと思い
  ます。






 

  エンドレスロープはコクピットにリードして
  写真では、余った2個のカムクリートに固定
  しています。開く時は、カムクリートからはず
  して、両手でロープにテンションをかけながら
  ドラムを回転させる。よって、オートパイロッ
  トがあった方が便利だと思います。









これで、アビームから下で走ります。強風ならある程度まではジェノアを使えば良いし、ダウンウィンドでアペアレントの風が弱くなった時、このジェネカーを引き出す。まあ、微風なら、多少の上りでも使っても良いと思います。兎に角、シングルハンドの方の、微軽風でのセーリングを面白くできる
かと思います。

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