第九十九話 アルコナヨット

やっとですが、アルコナヨットのページを作成し、掲載致しました。このヨットは日本には馴染の無いヨットですが、スウェーデンの造船所で約60年ぐらい、造船をしてきた会社です。年間建造艇数は50艇ぐらいですから、少ない分、一艇一艇、丁寧に造っています。量産艇の造船所が年間数千の単位ですから、全然違うものです。

かねてより、建造艇数が100前後以下と考えてきました。それはプロダクション艇ですが、各オーナーの希望に多少は応えられる事と、やはり、造りが良いと思っています。小規模な造船所は、その品質で勝負するしか勝てないからです。値段は確かに上がりますが、その分、品質は高い。

ヨットが車のように10年程度の使い捨てに近いような存在なら、たいした意味は無いかもしれませんが、40年も、50年も使えるヨット、あるいはもっとかもしれません。そういうヨットは品質が良いというのは、耐久性のみでは無く、セーリングそのものが違ってきますし、安全性や、波あたり、頼もしさ、いろんな面で違うと思っています。

たとえ、40年も50年も乗り続ける事は無いとしても、10年ぐらいとしても、その10年は全然違ったものになります。

小規模造船所が、大手に勝つ理由は、そこにあります。ですから、彼らは、明確なコンセプトを打ち出して、そのコンセプトにおいて、非常に性能、品質を高める努力をします。外洋艇しかり、アルコナのようなハイパフォーマンスクルーザーしかり。

アルコナは、ハイパフォーマンスのクルージングというコンセプト。従来、セーリング性能とクルージング性能は相反するものでした。しかし、新しい技術の開発等で、充分なキャビンスペースを確保しながら、重くなり過ぎない、しかも硬い船体を造る事ができるようになりました。バキュームと樹脂のコントロールシステムです。

簡単に売れるとは思っていませんが、デイセーラーの時のように、じっくりと腰を据えて取り組んで行きたいと思っています。このヨットがどうこうという前に、一般的なクルージング艇と考える場合、それは、日常ににおいてセーリングを気軽に楽しむという事と、それなら高性能が面白い。これはデイセーラーと同じ考え方です。それに、年に何回か、ロングを含めたクルージングを考える方々を想定しています。これが最も多い使い方だろうと思うからです。

それなら、セーリングはショートハンドで面白く、クルージングは安全に、と思う次第です。今の所、クルージング艇にそういう考え方は少ない。少なくとも日本では少ないと思います。ですから、まずは、そういうコンセプトを広げていきたいと思います。

気軽にダブルハンドでヨットを出して、セーリングを堪能する。そういう事を日常に持つ事は、かなりヨットライフが面白いものになるのではないか。そういうヨットで、クルージングも充分できるのですから。それに、こういうヨットは時化にも強い。

従って、日本のクルージング艇には、キャビンヨットより、ハイパフォーマンスクルーザーの方が良いと思っています。従って、デイセーラーはデイセーリングとウィークエンドクルージング、アルコナではデイセーリングとロングクルージングと考えます。

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