第八十七話 コンセプト

造船所にコンセプトがあるように、オーナーにコンセプトがあるように、我々業者にもコンセプトがあります。そのコンセプトに合うヨットを見つけ出し、交渉し、日本に導入する。そして、同じコンセプトを持つオーナーにアピールします。そして、もちろん、こういうコンセプトはいかがですかと、新規参入を促し、コンセプトを育てます。それが仕事です。ヨットを売るのが仕事ですが、その前にコンセプトを売らなければなりません。残念ながら、全てのオーナーのコンセプトに対応する事はできません。

それで、当社のコンセプトは、これまで長々と書いてきた通りですが、第一に、デイセーリングです。一日を遊ぶに、いろんな方法があると思います。キャビンで寛ぐ、宴会をする、のんびりゆったり、ピクニック、レース、いろいろありますが、その使い方の主として、セーリングを堪能しようという事です。それを主にしたら、それなりのセーリング性能を持つヨットが面白いと考えています。

それに最も相応しいのがデイセーラーという事になります。性能面を考えても、シングルでの操作性を考えても、最も手軽にセーリングを堪能できます。

しかし、それだけでは終わらない。やはりクルージングも時には楽しみたいもの。そうなると、ウィークエンド程度なら、デイセーラーで充分ですが、もっと長い距離と日程を考えますと、もっとゆったりしたキャビンがあった方が楽になります。

だからと言って、俗に言うクルージング艇では無く、やはり普段のデイセーリングを楽しむうえにも、帆走性能の高いヨットの方が面白い。従って、ひとりクルーを確保する事によって、それを実現します。それがパフォーマンスクルーザーと考えます。

従って、当社のコンセプトはデイセーリング+ウィークエンドクルージングをデイセーラーで楽しむか、或いは、デイセーリング+ロングクルージングをパフォーマンスクルーザーで楽しむかのふたつです。どちらもセーリング性能と操作性の良さを重視しています。それは、日常的な使用において、いかに面白さを味わう事ができるかが重要だと考えているからです。

今後、こういう考え方において、このコンセプトを育てていければと思います。人によっては何の価値もありません。でも、最も身近であるデイセーリングが、もっと重要視されても良いかと思います。その面白さが、もっと広がっても良いのではないかと思っています。

加えて、それを実行するにあたり、シングルが可能ならベスト。どんな状況でも、誰がゲストになろうとも、全く気にする必要は無い事になります。それが無理なら、できればダブルハンド、少なければ少ない方が、縛りがありませんし。

それらはヨットの性能、操作性の良さによって可能になります。気軽さも生まれます。それが日常に必要な事だろうと思いますし、そのうえで、高い帆走性能を楽しむ事ができるなら、より良いのではないかと思います。

セーリングとクルージングは趣を異にします。日常にはセーリングで充実させ、時にクルージングを楽しむ。それが当社のコンセプトです。 Sail A Day、Cruise Weekends and Month それで、従来からのデイセーラーに加えて、スウェーデンからパフォーマンスクルーザーを導入する事に致しました。

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