第六十六話 セーリングは面白い

ヨットの基本はこれだと思っています。これはひとつの考え方ですから、という事は違う考え方もあって、レースは面白いとか、クルージングは面白いとか、他にもたくさんあります。その中で、セーリングは面白いというのが、私が思う考えで、それなら、ハイパフォーマンスのヨットが良いという事になっていきます。

しかし、過激なスピードを追い求めるようなタイプでは無く、その性能を気軽に、日常的に楽しめる事が必要だと思います。つまり、これはシングルハンドやダブルハンド程度のショートハンドを意味し、それでも容易に性能を味わえる事が必要だと思います。

そのひとつの答えが、デイセーラーであります。デイセーラーはシングルハンドを最も容易にし、尚且つセーリングを楽しめるヨットです。

もうひとつは、ハイパフォーマンスクルージングヨット。ダブルハンドを想定し、キャビンをもう少し設け、よりクルージングも長距離に対応したヨットです。でも、クルージング一辺倒にはなっていません。あくまで、日常はセーリングを楽しむ事が基本ですから。

このふたつに共通して求める性能は、スピード、それを支える安定性、ハルの硬さからくる滑らかさ、レスポンスの良さ、バランスの良さ等々です。

これに対して、キャビンは、そこまでは重視していません。特にデイセーラーではキャビンは狭い。ですから、クルージングの場合は長期を考えるよりも、ウィークエンドクルージング程度を想定し、それをもっと広げたいのであれば、ダブルハンドとして、ハイパフォーマンスクルージング艇をと考えます。ですから、どちらも、基本的にはセーリングをいかに面白く遊べるかを重視しています。

セールを展開し、エンジンをカットした途端に開ける世界は、ヨットならではの静けさを提供します。その静けさを保ちながらも、走る行為には、穏やかさもあり、スピード感もあり、スリルもあり、エキサイティングもあり、緊張感もあり、緩和もあり、これらフィーリングの他に、頭脳も使い、体も使い、それに自由があります。

面白さは、様々な変化にあります。何十年もかかって変化するものもあれば、短時間に変化するものもあります。セーリングは短い時間にたくさんの変化を楽しめる。この変化の期間が長ければ、長い程、面白さを味わうには、長い、大きな意識が必要です。でも、そんな時間は無いんです。
そんな長い変化は、1日では味わえない。何日も、何週間も、何ヶ月も、何年も必要になります。
日常的とはいきません。

デイセーリングは、数時間でその変化を見ようとする行為で、それなら、その変化ができるだけ多く解る方が良い。それでハイパフォーマンスヨットという事になっていきます。つまり、本格外洋艇でデイセーリングができないわけではありませんが、感じるところはおおいに違うという事です。キャビンヨットしかり。 

従って、短時間のデイセーリングに頻繁な面白さを味わい、時折のクルージングを楽しむという方法をお勧めしております。

面白さと楽しさは違うものと考えています。楽しさだけなら、飽きやすいか、たまにで十分。ですから、楽しさでは無く、面白さをどこに持つかが重要と考えます。そして、その面白さに時折の楽しさを混ぜて行けばいいかと思います。

面白さの中には、楽しさも含めて、スリル、緊張等も含めています。それが無いと、ただ楽しいだけなら、それほど深くはならない。従って、時折か飽きるかではないかと思います。

面白さをクルージングに求めたらどうなるでしょうか? 多分、ヨットでは無く、目的地になるかと思います。それはそれで良いのですが、それに対しては時間がたっぷり必要です。さて、どっちを取るのか? という事で、セーリングを取る事にしました。

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