第三十五話 ヨットの選択

別荘的使い方に無理があるとしたら?そういうヨットとは違う選択をした方が良いのではないか?
そう思って、デイセーリングを推進しています。クルージングを楽しむ他、日常的にはセーリングを楽しむ事をお勧めしてきました。

クルージングをエリアで分け、日常のセーリング+ウィークエンドクルージングなら、デイセーラーが良い。しかも、シングルハンドが普段の使い方なら、尚の事。これはこれまで、何度も取り上げてきました。

或いは、常時一人はクルーを確保でき、日常的にセーリングを楽しむにしても、年に何回かは、ウィークエンド程度では無く、もっと遠い範囲でのクルージングを考え、しかも、キャビンで寝泊りもする。そういう場合は、従来のクルージング艇よりも、むしろハイパフォーマンスクルージング艇という選択があります。

そういうヨットでも、キャビンは充分あるし、設備も整っています。俗にいうレーサークルーザーという言葉で、ひとくくりされるかもしれませんが、実際は、いろんなヨットがあります。その中で、低い重心で、腰が強いヨット、硬いハル、というのが少人数でのセーリングとグッドフィーリングには良い。

キャビンヨットが、別荘的な過ごし方において発展していく反面、こういうヨットは、ハイパフォーマンスのクルージングヨットとして発展しています。これを、レーサークルーザーという言葉で表すものですから、レースに興味が無い、クルージング派の方々を惑わす事になります。

同じレーサークルーザーでも、レーサーに近いヨットから、クルージングに近いヨットまでいろいろです。でも、共通して言える事は、セーリングをないがしろにせず、セーリング自体を楽しむ事を考慮している事です。

普段は2,3人でセーリングを楽しむ。たまに、ローカルのレースにでても、そこそこ走る。充分なスタビリティーを持ち、キャビン装備も十分。フリーボードが低く、それでも、充分と言えるスペースを確保できる。

ただ、純粋クルージング艇と違うのは、デッキ装備の配置です。ジェノアはファーリングジブですが、メインセールはやや大きく、メインシートのトラベラーはコクピットにある。これは、舵を持ちながら、シート操作もできる。もうひとりのクルーはジェノアを操作する。メインシートの操作は、ブームエンドに近い方が、より力は軽減されます。もし、3人居たら、楽勝です。

コクピットからトラベラーを追い出した時点で、セーリングはしにくくなる。でも、それがそんなに邪魔か?別荘的発想ならそうなるかもしれません。でも、ここでは違う見方をします。日常に、いかにセーリングを簡単操作で堪能できるかです。それでも、コクピットを楽しむ事はできます。トラベラーはコクピットに合った方が良い。

こういうハイパフォーマンスヨットを、セーリングからショート、ロングのクルージング、日本一周まで含めて、沖縄や小笠原クルージングまで含めて考える事ができます。

つまり、日本のクルージング艇という楽しみ方は、セーリング+クルージングで、シングルかどうかで、ショートかロングかで、デイセーラーかハイパフォーマンスクルージングヨットというヨットが良いのではないかと思います。

もちろん、レース中心の方はレーサーか、もしくはレーサークルーザージャンルの中でも、レーサー寄りになるでしょうし、外洋クルージングの方は、これらとはまた違う外洋艇というヨットがあります。もちろん、しっかり作られたハイパフォーマンスヨットは、外洋にも行けるでしょう。でも、外洋にはもうひとつ別の要素が要求されます。それは、言い方は悪いですが、ある種の鈍さです。多少鈍く、ゆっくりしたモーションの方が良い。これは、セーリングを楽しむとは違う次元の事であり、セーリングを楽しむには敏感な方が良い。

という事で、これからは、デイセーラーというジャンルと、パフォーマンスヨットというヨットをおすすめしていきたいと思います。これら二つのヨットで、かなりの方々の使い方には適しているのではないかと思うからです。

次へ        目次へ