第八十ニ話 セルフタッキング

メインセールはセルフタッキングメインです。舵を操作すれば自動的に右へ左へ、勝手に移動してくれます。でも、ジェノアはそうはいきません。シートを解いて、反対舷のシートを引き込んで、セールを右に左に入れ替える。

セルフタッキングがセールプランに施されているヨットは、ジブセールが小さくなる分、メインセールを大きくします。マスト位置も少し前側に移動させ、よりメインを大きくして、ジブをカバーするようにデザインされます。

メインとジブがセルフタッキングなら、舵操作のみでタッキングはできる。実に簡単です。でも、このセルフタッキングのジブは、上りは良いのですが、落として走る時、セールをきれいに開けない。そこでジブブームなる物が発明され、ジブセールもメインと同じようにきれに開けるようにしたわけです。

このジブブームが無いセルフタッキングジブでは、落としたコースではジブがきれいに開けないので、やはりジェネカーの活用という事になります。

デイセーラーでも、ジブブームが設置されるのは少なく、多くは通常のセルフタッキングを採用しています。セルフタッキングジブは、より内側に引き込む事ができ、のぼり角度は良くなる。その反面、落としたコースではジブセールがきれいに開かない。

でも、大きなメインセールがあります。メインセールはジブ、ジェノア等に比べて、かなりコントロールできるセールです。ジブにはシートがあって、ジェノアトラックがあるぐらいですが、メインには、
ブームがあり、アウトホールがあり、トラベラー、バング、ヨットによってはカニンガムもあります。
つまり、メインセールはジェノアより、遥かにコントロー範囲が広がります。全方向の風向に使えるセールです。ならば、ジブよりそのセールを大きくした方が、コントロール範囲が広いので良いのではと思います。その代わり、ジブを小さくして、全体操作を楽にする。

そして、ジブブームが無いセルフタッキングジブでは、ジェネカーを使う。積極的に使う。クルーがひとり居れば、ノースセールさんが出しているスナファーとか、或いはシングルなら当社使いのROLLGENとかお薦めです。

セルフタッキングジブは全体の操作を楽にしてくれます。その分、ジェネカー等の扱いによって、ダウンウィンドを面白くする事ができます。もし、ジェネカーを使うなら、ジブブームがあるとはいえ、ダウンウィンドにおいては、やはりジェネカーの方がエキサイティングにはなります。

ジブブームか、ジェネカーか? これはそれぞれのオーナーの事情にもよりますが、いずれにしろ、ダウンウィンドをどう楽しめるようにするか?ブームの無いセルフタッキングジブは、楽ですが、同時にジェネカーへのお誘いでもあります。

今日はクリスマスイブでした。 皆様に、メリークリスマス!

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