第九十話 夏休み

この時期はヨーロッパの会社が長い夏休みを取ります。企業によっては、丸々1ヶ月、会社全体がクローズしてしまう事もあります。或いは、会社のクローズは2週間程度でも、各社員は交代で1ヶ月近く休むという会社もあります。

それに対して、日本はお盆の数日間の休み。ヨーロッパの会社と取引がある時、この夏休みに入りますと、どうしようもありません。待つのみですね。仕方ありません。

不思議なのは、ヨーロッパがこういう夏休みを取っても、経済がちゃんと回っているということです。不況だからと言って、夏休みを無くす事は無い。20年以上前ですが、ドイツに行った時に聞いた話。法律で最低連続3週間だったでしょうか、休みを取らなければならないという決まりがあるとか。

日本は忙しく働いて、でも、だからと言って、ヨーロッパよりも経済が良い、暮らしが良いとは言えません。不思議です。でも、本当は考えてみたら、飛び飛びですが、何とかの祝日とかいうのは、非常に多い。日本も飛び飛びだから実感しませんが、休みは多いのかもしれません。

長い習慣になってしまえば、経済もそういう体制で流れていくのかもしれません。忙しく働けば、そういう習慣になるし、休むのが当たり前なら、それでも回っていくものかもしれません。一人でこれをやるわけには行きませんが、全体がそうなら、OKなのかもしれません。

要は自分達で、忙しくしているのかもしれませんね。

経済が発展し、進化も進み、便利な物が発明されて、それで、同じ仕事を半日でできるようになったら、その残り半日を別な仕事を入れて、もっと忙しくします。同じ時間に、昔の2倍も3倍もこなすようになってきました。

どこかで、効率が良くなった分、休みを取り入れるという意識が全体に広がった時、我々の生活スタイルも変わるかもしれません。そうなった時、ヨットなんか大活躍なんでしょうね。そうなるかどうかは解りませんが?

つい先日は、終戦記念日。 戦後からここまで発展してきたのは、日本人の勤勉さ、向上心、競争心の強さなのかもしれません。競争してますと、休んでなんかいられません。一時期は、エコノミックアニマルなんて呼ばれ方もしました。その反省か、祝日が実に多くなった。大胆に連続的休みにはできなかったかもしれません。それで、ちまちまと。

これら祝日を集めて、どこかに持ってきますと、かなりの日数です。でも、日本人の性格からしても、急にはできません。そういう習慣を少しづつ作っていって、ヨーロッパのように休みが連続してくると、いかにも休んだ感が強くなる。それで、ヨットが大活躍?

日本人の長い休みは、どうしても引退後になってしまいます。ヨーロッパでは、若い方がロングの旅に出ていたりしますが、日本では、仕事の事を考えると難しい。引退後にやるのもなかなか。こういう生活習慣の違いというのも、ヨットに対する意識が違ってきます。

数年前、あるスイス人の医者だったですが、半年仕事して、半年クルージングという人も居ました。
いろいろあります。
日本は日本。日本人スタイルに合う乗り方をすれば良い。そう思いますね。日本人に合うスタイル、個人に合うスタイル、スイス人がのんびり世界を回ろうが、関係ありません。自分にとって、ヨットは何だろう?どうしたら最も面白さを感じられるかですね。

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