第九十四話 積極シンングルハンド

仕方無いからシングルハンドというのなら、たいして面白くは無いかもしれません。ですから、シングルハンドに面白さを見出さねばなりません。で、本当のところはどうか?

映画を見たり、何かテレビで面白い番組があっている時、気持ちは集中します。そういう時に限って、横からかみさんが話しかけてきます。それで、いい加減な返事をしたり、話をまともに聞かなかったりしますと怒りますね。ですから、集中したい時はシングルの方が良いんです。

人は誰でも面白さを感じますと、集中してきますから、それを誰にも破られたくない。そうで無いなら、はなっから、見ないほうが良いという事になります。それで私の友人ですが、家族で居る時はテレビを見ないという奴も居ます。

これはセーリングが面白いのか?集中に値するのか?そういう問題になります。セーリングはゲストが居てもできますが、ゲストが居ると気を使いますから、ピクニックセーリングには良いですが、集中セーリングには向かない。

ですから、シングルは集中して堪能したい時に相応しい。積極シングルハンドという事になります。
セーリングを学んで、動かすから、いかに自分の意図で走らせるかという事を考えますと、集中してきます。船体の状況、舵の感じ、セールを観察して、形状とか角度とか、入念に観察し、感じます。そうしますと自然に集中しています。こうなったら、こっちのものですね。

集中すれば、風の変化にも気が付きますから、それでヨットの変化にも気付きます。変化に気付けば、もっと集中します。するともっと多くを気付く事になります。同乗者にはわからなくても、自分は気付く。そういうセンスを造る事になります。これで、面白く無いはずが無い。我々は要は変化を求めているのですから。

ですから、集中しやすい環境にもっていくというのも、ひとつの方法です。とりあえず、最も集中し易いかと思うのは、ギリギリのクローズを走る。ほんのわずかな舵操作で、セールの裏に風が入る。
そんなギリギリの集中し易いコースを取ってみる。

メインもジブも目一杯引き込んで、でも、風が強くなりますと大きくヒールしてしまいます。ですから、そういう時は余計集中して、風の取り入れ具合を調整し、ヒールバランスも見ながら、舵の抵抗感も感じながら、かなり集中できる走りではないでしょうか?

まずはそんな走りを、何度も堪能してはいかがでしょうか?そうしたら、アビームも、ダウンウィンドも、セーリング自体に集中できるような。風が弱い時ほど難しいですが。

こういう集中セーリングができるからこそ、ピクニックセーリングも、違う要素として楽しむ事ができるのではないかと思います。ですから、積極シングルハンドは、お奨めなんですね。

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