第87話 ヨットスクール

最近、ヨットを始めたいのでヨットスクールに行くという人が何人かおられました。それで思った
のですが、ヨットスクールに行って覚えたら、それからヨットを買おうと思う。これが普通のやり方
だと思います。でも、私はこういいます。そんな事する必要ありません。ヨットを買うと決めたなら
先に買うべきです。スクールなんか行く必要ありません。ヨット買って、自分のヨットで、例えば
買った業者に教えてもらえば良い。ハリヤードが何か、シートが何か、そんな初歩的な事を習う
のに大金はたく必要など無い。自分のヨットで習えば、より真剣になりますし、同時に自分のヨッ
トに習熟します。

私の経験では、全くの素人、本当に1回も乗った経験の無い、しかも60歳前後の方々にヨットを
買ってもらいました。そして、数回一緒に乗りました。そのうち、私の都合とオーナーの都合が
合わない時がかならず来ます。それで皆さん全員が、それではまた今度となるのですが、少し
慣れてきたせいか自分で出してみようとする。全員がこうでした。知らない間に出しているんです。
危ないじゃないかと思うかもしれません。でもこの最初の勇気が必要なのです。それで次回あって
みると、実は前回一人で出しましてね、と言われる。緊張したけど楽しかったと言われる。私は驚
いて見せる。へえ〜そうですか! そして、また一緒に乗る。ヨットスクールで何日か乗るよりずっと
良いと思います。

それでヨットスクールは無駄かというとそうではありません。ひとりである程度乗れて少し慣れたら、
それからスクールにレベルアップの為に行かれたらどうでしょうか。初歩の初歩は既に覚え、次に
ステップアップする為にシステマチックに構成されたスクールには多いに意義があると思うのです。
質問内容も違ってきます。覚えるのも違う。ぐんぐんレベルアップすると思います。そして帰ってきて
自分のヨットで試す。どんどん乗りこむ。

通常、全くの未経験者はヨットスクールに行きます。でも、それから後、慣れてくると行かなくなる。
どうせ行くなら、レベルアップに行った方が効果的ではないかと思うのです。

それでヨットに習熟してきたら、一旦忘れることですね。頭の中に常にそういう理屈などがあると邪魔
になる事があります。目の前に起きた事に臨機応変に対応する事ができなくなる。プロテニスのプレ
イなどをテレビで見ていると、とても変なフォームで打ったり、いろいろあります。海の上ではいろいろ
な条件があり、常に理屈を考えてこだわると返ってうまくいかない時があります。基本は体が覚えて
いる。そして後は臨機応変です。

先日のレースで走りながら,こうしようと思った時、オーナーはいいよ、充分速く走ってるからといわれ
ました。なるほどと思ったものです。理屈が先では無く、走るのが先。勉強になりました。

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