第84話 燃料に水

最近の出来事です。エンジンが全くかからないどころか、スターターモーターがうんともすんとも
言わないなくなってしまった。オーナーは最初はスターターモーターが壊れたと思い、修理を依頼
でも、実際はとんでも無い事が起こっていました。

スターターモーターをまずチェック、ところが問題はなかった。ところが、エンジンは全く動かない。
いろいろ調べた結果、原因は燃料に水が入り、それが原因でエンジン内部が錆びついていたの
です。デッキの燃料の入れ口に不具合がありました。物によってはウィンチハンドルで開閉できる
タイプがあります。最初はこれは良いアイデアと思ったものですが、ウィンチハンドルで締めつける
と力が入りすぎる。ゴムのパッキンが駄目になる。それで振り続いた雨で燃料タンクには水が結構
入ったわけです。これだけなら、まだ良い。水分離器がついていますので、これで燃料から水を分離
、ところが、そのうち分離する能力が一杯になり、分離器には水が満杯状態。とうとう水はエンジンに
浸入してしまいました。

忙しくて乗れないけど毎週のようにエンジンはかけていました。ある日、エンジンがかからなかった。
セルモーターは回るものの、エンジンはかからない。1週間前まではかかっていたのに、今日は全く
かからない。忙しかったので、そのままにして、運の悪い事に2ヶ月間来れなかった。この2ヶ月の間
に上記の原因で錆びが進行、ピストンはシリンダーの中で完全に固着してしまったのです。前回、
エンジンがかからなかった時、この時すぐに対処しておけば、対処というのは、水分離器から水を抜い
てエンジンをかけておけば、大事にはいたらなかったはずです。

結局、浸入後、2ヶ月間放置された為に、これまでは毎週エンジンをかけていたのに、この時に限って
2ヶ月間も行かなかったのです。デッキの燃料注入口から入った水がエンジンにまで入り、そして、シリ
ンダー内分、燃料噴射ポンプを錆びさせ、完全に固着させてしまいました。

教訓、何かトラブルがあったら即座に対応することですね。殆どのヨットに水分離器がついていると思い
ます。水がどれぐらい溜まっているか見たことありますでしょうか?是非、一度確認して下さい。ちょっと
した日常の点検で大事を未然に防ぐ事ができますから。何にしても、たまにはエンジンルームを開けて
見る事。エンジンの知識が無くても良いんです。いつも見て、きれに掃除しておくことが大切です。知識
が無くても、オイル漏れがあれば見て解る。錆びがあれば見て解る。とにかく、いつもと違う何かがでたら
それをきちんと把握しておくことですね。

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