第8話 3つの流れ

レーシングヨットを除く、一般のクルージング派という方には、まず主流となるひとつの
流れがあります。それは少ない人数でも簡単に動かせる、シングルでも簡単ならベター
これが主流のテーマのようです。そして、これを可能にする3つの流れがあります。  

ひとつは小型サイズにして、シングルハンドを可能にする方法。この場合でも、初心者
では無く、既にベテランの方はクラシックなデザインで、高品質という選択になるようで
す。彼らがウッドボートの造船所を支え、こういう小型でも高価な市場を支えています。

二番目はスポーツヨットです。これもシングルか又はダブル程度で、ハイパフォーマンス
ヨットをスポーツ的に楽しむという流れです。決して、レースが主たる目的では無いので
す。大勢で乗るレースでは無く、自分達で走りを楽しむスポーツです。スポーツとして徹
底するなら、そういう向きの艇が出てきています。                      

三番目は大型艇をシングル又はダブルにて楽にに乗りたいという流れです。頑丈な船体
を提供する。装備はベーシック。しかし、あくまで頑丈だが、帆走性能も充分考慮されて
おり、どういう艤装をするかはオーナーが選択できる。造船所はプロダクション艇でも、そう
いう選択肢を与えます。例えば、ハイパフォーマンスを狙うオーナーへは、マストの選択、
セールの選択等々、それに合う選択が可能となり、イージーハンドリングを望むオーナー
へは、セルフタッキングジブ、メンファーラー、電動ウィンチ、バウスラスター、等々を提供
できる。つまり、船体は世界の海を航海でき、優れた帆走性能を持たせる、もはやクルー
ジングだから頑丈なら良いという時代ではありません。それをベースにオーナーは自分の
コンセプトを打ち出せる。レーサーとは言わないまでも、ハイパフォーマンス、一方、同じ船
体をロングクルージングに艤装しても良い。オーナーの使い方次第。

様々な技術の発達、ノウハウの蓄積、そういうものによって、もはや、このヨットはこういう
乗り方向きですというひとつのコンセプトが、今ではもっと幅の広い洗濯ができるという方
向に流れてきています。全ての造船所が同じ流れを持っているわけではありませんが、
そういう方向にあると思います。そしてそれに見合う基本のヨットが頑丈さやスタビリティー
セーリング性能等を兼ね備えなければなりません。

どんな乗り方をするにしても、帆走性能が良いというのは重要です。その為にクルーがた
くさん必要なら論外ですが、シングル、ダブルで容易に走れる艇、いかにロングクルージ
ングであっても、速い方がより広い行動範囲を与えてくれます。

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