第57話 燃料タンク

古いヨットが増えてきましたが、燃料タンクの清掃を提案したいと思います。10数年たってくると
燃料タンクの中にごみや経由の変化したものなのか、どろどろした物が溜まってきます。ヨットは
風で走るものですから、燃料の消費が非常に少ない。人によっては満タンにしたら1年ぐらいは
あるという方もおられます。そうするとタンクの底に溜まってくるんですね。

近場だけを走る場合は影響が出ないこともありますが、長距離を走ってみると症状が出てくる事が
あります。もちろん機走の時ですが、エンジンの回転が下がってきて、ついには停止したりします。
ポンプが長い間作動している間にごみを吸って、フィルターに詰まったり、燃料管を詰まらせたり、
燃料の供給量が徐々に減って、エンジン回転を下げるのです。場合によっては燃料が来ないから
燃料パイプの繋ぎ目からエアーを吸い込む場合もあります。

最近のヨットではエンジン本体についている燃料フィルターとは別に燃料フィルター/水分離器が
付いているのがありますが、水の量ばかりでは無く、フィルターの目詰まりにも注意が必要です。
定期的にフィルターの汚れ具合は点検しておいた方が良いですし、燃料タンクの清掃も1度やって
下さい。燃料を抜いて、灯油を入れ、また抜く、これを何度か繰り返して、底に溜まったヘドロ状の
物をきれいにしておいて下さい。これで、安心して長距離航海へ出かけられます。燃料タンクは
点検や清掃がやりづらいのですが、これはやっておいた方が良いです。

長距離に出かけた場合、田舎でドラム缶から燃料を入れた方がおられましたが、これも要注意です。
ドラム缶の中にごみがたまっていたり、水が入っていたり、これで大変苦労したオーナーがおられま
す。ヨットはセールが命ですが、エンジンも大切ですよね。

ついでながら、エンジンについて少し。エンジンはできるだけ動かした方が良いです。たまにしか乗
れないオーナーでも、1週間に1度か2度ぐらいはエンジンをかけてやった方が良いのです。それは、
わずか5分程度でも良いのです。長い間エンジンがほっておかれるとエンジン内部のオイルは下が
ってしまいます。シリンダーの壁からオイルの膜が無くなってしまう。このままほおっておきますと、場
合によっては内外の温度差によってシリンダーに水滴が発生し、エンジン内部を錆びさせる原因に
なるわけです。そして、久しぶりに来て、エンジンをかける。そうすると錆びが出た状態でピストンが
動き、シリンダー内にキズをつける事になります。ですから、いつも油膜をつくっておく為にエンジンを
時々かける。たった5分でいいのです。その時、エンジンは少し高めの1,200〜1,500回転ぐらい
まであげておいた方が良い。エンジンの振動が最も少ない安定した回転にしておいた方が良いよう
です。そして、バテリー充電もかねての作動であれば、長時間の作動になるわけですが、この時は
時々エンジン回転を上げてやる。これはエンジン内部にたまるカーボンを吹き飛ばしてやるわけです。
スロー回転での長時間作動はあまりよくないようです。

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