第26話 MADE IN TAIWAN

台湾ボートがすっかり影をひそめてしまいました。かつては安いという魅力で、かなりの人気
だったのですが、最近は全く聞きませんね。でも、ちょっと見直した方が良いのではと思いま
す。価格は安いし、船体はかなり頑丈、問題は電気配線や細かい取りつけ具合とか、確か
に問題はあります。しかし、欧米では売れている。何故か?

外洋に行きたいと思ってヨットを探す。アメリカやヨーロッパのヨットは非常に高い、しかし、台
湾製なら安い。でも問題あり。それで欧米のオーナー達は台湾ボートを購入して、もって帰っ
た後、いろいろやりかえる。最大の魅力はそれでも欧米産に比べれば安いという事です。
新艇だから完璧という意識を捨てて、未完成品と思えば怒る事も無い。自分で造るよりはる
かに手間もかからず、安く上がる。安い価格で大型艇を狙うなら、台湾製も悪い選択では無い
と思います。それに木工作業はきれい、手先が器用だ。

最近、台湾には行っていないのですが、かつては約70社の造船所がありました。台湾という
国ではヨットに乗る人は居ないのです。造るだけ。だから輸出のみの外貨獲得となります。そう
いう国でできたヨットは確かに良いはずは無い。しかしです。中には従業員を海外にやって勉
強させている造船所もあります。こういう造船所のヨットは悪くは無い。海外でも評価は高い。
でも、その反対に自社で職人をかかえず、外注している造船所もある。こういう場合、請負です
から完成していくら、さっと片付けてお金にかえる、という具合ですから良く無いです。

外洋のロングクルージングに行きたい、多少重くても良い、なんて方には良いかもしれません。
船体はこれでもかというぐらい厚く、重い。でも頑丈です。ただ、造船所は選ばなければいけま
せん。セミカスタムのように注文もできるし、悪くは無いと思います。

日本では一時的に流行るとたくさん集中して、そしてあっという間に、引き上げてしまう、そうい
う傾向にあるようです。安いとなったら、どんどん台湾製が入ってきて、あっちこっちトラブルの
話を聞くと、とたんに無くなる。極端です。もっと、じっくり見極めていけば、安くて、大きくて、頑
丈なヨットが手に入るのです。丸かバツか、100か0か、という極端では無く、もっと良し悪しを
見た方が良い。そう思います。

イメージに流されるケースが多い。それぞれに良い点、悪い点があります。それを見る、先入観
を持たずに見る。素直に見る。大切な事ではないでしょうか。

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