第六十六話 経済

経済は我々の根幹を成しています。生きていくにも経済、遊ぶのも経済がベースにある。ですから誰もが経済に感心がある。経済が趣味の人なら良いのですが、資本主義経済において、激しい競争にさらされ、そこで勝ち抜いていくのは容易ならぬ事、それを趣味にできる人はそうは居無い。ですから、人には遊びが必要になる。そうで無いと経済活動のみでは続けられない。ちょっとした瞬間に癒しを求め、それがエネルギーのチャージになる。

そこで、我々業者は遊びの部分をサポートしています。人が経済活動で疲れた時、その癒し部分であります。何をしたら、或いはしなかったら、最高の癒しになって、エネルギーの補充ができるのか?たくさんの遊びがありますが、我々はその中の海という部分を受け持ち、またその中でもヨットというジャンルを受け持つ。あらゆる遊びに、癒しがあり、その中のヨットというのはほんの一部だけとなりますが、わずかであっても、それを引き受けたわけですから、その中に最高の癒しを提供するのが仕事です。

海は陸上生活から見ると異次元の世界。いくら近くても、陸から離れてしまうと、世界が変わってしまう。日常生活とは違う世界がすぐそこにあります。陸上で遊ぶのとはわけが違う。出るだけでも別世界であります。そのフィールドで何を遊ぶか?そこが重要です。

のんびりするのも、時には良いものです。でも、最高の癒しは頭を完全に切り替えてしまう事。普段の経済活動から、全く違う事に集中してしまう事ではないかと思います。ある瞬間、身も心も、全く異なる事に集中してしまう事こそが、最高のエネルギーチャージになるのではないかと思います。
すると脳と感性は、その瞬間に全く書き換えられてしまう。それが、海というフィールドは、ヨットのもやいを解き放つ事で完全に別フィールドに切り替える事ができる。簡単に頭を切り替える事ができると思います。海に出てしまえば、あれこれ考えても仕方ない。

さあ、一旦出てしまったら、もっと集中力を高めた方が、異次元の奥深くへ入っていく事ができる。どうせやるなら、のんびりも時には良いが、もっと深く入った方がもっとエネルギーチャージになる。
そこで、お奨めしているのが、セーリングであります。全てのヨットが持つパワーはセールでありますから、そのセールをいかに使って、いかに走り、いかなるフィーリングを得るか?セーリングという行為は、ヨットでしか味わえないものですし、そこから来る頭の使い方もフィーリングも、セーリング以外の行為からは味わう事ができません。せっかくヨットやるなら、そこをやらない手は無い。しかも、どうせなら、そこに他では味わえない、最高のフィーリングを求めても良いのではないかと思います。

豪華で最高のキャビンがある、そこで過ごして得られるフィーリングとはどんなものでしょうか?或いは、最高のセーリングという行為から得られるフィーリングはどうでしょうか?人にはそれぞれの考え方、価値観がありますが、そこを私としては、セーリングに重点を置いています。別に速いだけが全てでは無い。いろんなフィーリングがあります。要はそこに集中している事だろうと思います。集中する為に、いかに速くという手段を取りますが、集中できるなら、どうだって良いのかもしれません。何に集中するか?自分のフィーリングにです。

たいした風も無いのに、でも、滑らかにスーっと滑るようなセーリングを感じた時、何とも言えないフィーリングが沸き起こる。決してスピードが速いわけでも無いけれども、何か良い感じ。それは、自分の感覚に集中していないと解らないかもしれません。もちろん、ヨットによってもフィーリングは違ってきます。それで、フィーリングを求めた時、いろんなヨットがありますが、行き当たったヨットがデイセーラーなのです。セーリングを基本としてデザインされたヨットだけに、セーリングが違う。そう感じています。しかも、今時の事情に従い、シングルが容易にできる事も魅力です。

結局、セーリングを楽しむ場合、シングルができるというのが最も容易に集中できると思います。少なくとも、価値観を共有したクルーと、できるだけ少人数の方がやり易い。それがデイセーラーを扱う理由です。誰もが、容易に集中できて、質の違うセーリングが堪能できるからです。そこにキャビンといもうひとつのジャンルは多少犠牲にしなければなりません。でも、一旦デイセーラーのセーリングを味わったら、それでも良いと思えてくる。

こうやって、短時間ではあっても、そこに浸りきってセーリングしてきたならば、陸上に戻っても、完全にリフレッシュされ、エネルギーはチャージされて戻れる。セーリングとは、セーリングの質を問いながら、フィーリングに浸る行為なのかもしれません。速いのは面白い。しかし、速いだけが全てでは無い。フィーリングに浸り、そこを味わう事こそが、最高の癒しになるのではないかと思います。例えそれが好ましくないフィーリングであったとしても、そこに浸っていた時間は別世界であり、陸上に戻ったら、それが良くわかる。

結局、自分の中のフィーリングを、いかに引き出すか?セーリングという手段は、実にいろんな感性を引き出してくれます。楽しいか楽しくないかという次元以上に、フィーリングを遊ぶというのは、
実に面白い。普段の経済活動では一部のフィーリングしか引き出せないかと思います。それがセーリングによって、様々なフィーリングが湧き起こってきます。だから、面白いのであります。何も、良いフィーリングだけが良いわけじゃない。いろんなバリエーションがあってこそ、面白さがある。
ですから、セーリングは実に面白い、とこういう結論であります。

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