第三十四話 1/f ゆらぎ 

1/f ゆらぎというのがあります。f はフリクエンシーという周波数の事で、時間的、空間的なゆらぎというものがある。ゆらぎは、規則正しい予測できるもので、その中に不規則なものがまざり、そしてその中に1/f ゆらぎがあると、人間はそれを好ましく感じたり、気持ちが落ち着いたり、快感を感じたりするものだそうです。

機械で音楽を作って、寸分の狂いの無いリズム、タイミング、音程等で演奏されますと、人はそこにあまり魅力を感じ無いそうですが、正確な中に少しゆらぎがある方を好むものだそうです。音楽だけでは無く、人の声、音の強弱、色の濃淡、自然の中にもあるそうです。例えば、手造りの物なんかにもそういうゆらぎが見られる事もあり、それと同じ物を機械で量産なんかしますと、何故かそういうゆらぎが無い。建築のビルなんかにも無い。

つまり、ありとあらゆるものの規則性の中に予期せぬずれがあり、その中に1/f ゆらぎがあると、人は何か魅かれるものを感じるそうです。それは人間の心拍にもあり、心臓は規則正しい一定の間隔で鼓動しているわけでは無く、やはりずれがあり、1/f ゆらぎがあるそうで、そのあたりが原因なのか?人間だけでは無く、鶏に音楽を聴かせて、卵を多く産ませるとか、そういう事もあるようです。

自然の中はそういうゆらぎの宝庫、川のせせらぎ、樹木、海、風、星のまたたきにもあるそうです。
我々は進化すればする程に、都会は人工的になり、よって、その反動で、ゆらぎを求めるのかもしれません。ですから、山に海に、森林浴に、音楽に、何か癒しを求める。ガーデニングなんかもそうなのかもしれません。

そこで、個人の好みによって、ある人は海に来る。そしてヨットで風を走り、癒しを無意識に得ているのかもしれません。風も波にも、1/f ゆらぎがあるそうな。海が好きだという人は多いが、自然にそういう風に求めているのでしょう。

時には、一生懸命走るのでは無く、漂うようなセーリングも良いのかもしれません。スピードを求め、セールトリムをして、緊張感たっぷりに走る。そして、その後のほっとした緩和の中に、漂う感じの中にも、同じようなゆらぎがあるのかもしれません。

真っすぐ用事を済ませ、真っすぐ帰る。その中にちょっと寄り道、道草をくう、そんな感じでしょうか?人にはそんなひと時が必要なのかもしれません。それも計画的では無く、ふっと思いつくような、不規則性が必要です。

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