第七話 夢

多くの方が、いつかは遠くへ旅をしたいという夢をお持ちかと思います。その夢が実現できれば、こんな素晴らしい事はありません。是非、実現して頂きたいと思います。一方、そういう夢を持たない人達もおられます。私もそのひとりであります。遠くに行きたいとは、全く考えていません。日本一周はおろか、九州一周も、何も考えません。もし、考えるにしても、近場のウィークエンドクルージング程度で充分と個人的には思っています。

それよりは、日常です。ロングの大きな旅という夢は持ちませんが、その代わりに、日常を面白くしたい。ただそれだけであります。気軽にポンと出て、さっと走って、さっと帰ってくる。それだけで良いのです。夢は特にありません。敢えて言うなら、自由自在に、手足の如く操れるようになる事でしょうか。業者の夢としては、デイセーラーの全国的普及ですね。それにデイセーラーワンデザインレース、お祭りレース、お楽しみ会、そんなところでしょうか。

遠くの夢より、目の前の面白さ優先なのです。いかにデイセーリングを面白くするか?いかにセーリングを深めるか、いかにからどんな感じを得られるか?本当に自由自在になったら、一体どんな感じなのか?こういう事の方に興味が集中しています。まあ、これが夢と言えば、夢でしょうから、ただ、遠くない、今の夢です。それで、出て、その日が面白かったら、夢を一個達成です。簡単ですね。うまくいけばしょっちゅう夢を達成しています。そして、それが、少しづつ積み重なっていきます。もっともっと積み重なって行ったら、この先どうなるか? そんな事は解りません。解らないからこそ、どうなのか楽しみです。その結果がたいした事無くても、構いません。プロセスが面白いなら。もし、新たな何かを発見したら、今面白くて、その先も面白い。こんな良い事づくめで、言う事無し。

セーリングする事が夢なら、今すぐ達成できますね。それが達成したら、少し深くを夢見る。また達成します。こうやって、どんどん夢を達成しながら、セーリングそのものと面白、可笑しくつきあいたい。一生できますし、終わりも無い。うまくいけば、ず〜っと面白いのです。夢は達成した時だけが面白いのでは無く、それに向かうプロセスが面白くなければならない。プロセスが面白くて、面白くてたまらないのが理想。プロセスが面白いなら、最終の夢もたいして執着しなくなるかもしれませんね。それでは達成できるもんも達成できないじゃないか、と言われそうですが、向かう方向さえちゃんとしていれば、後は、プロセスが面白ければ、結果は二の次なのです。達成できればOK,できなくてもOKなのです。長い、長いプロセスを犠牲にしてまで、達成しようとは思いません。仮に、日本一周が夢なら、一周した瞬間が達成ですが、それより、一周するまでのプロセスをいかに面白いものにするかの方が遥に重要かと思います。良く、結果が全てと言われますが、プロセスこそが全てではないか、何にせよ、プロセスがあれば結果出る。日本一周を達成しようが、しまいが、それまでのプロセスが面白ければ、それで良いと思うのですが。もちろん、達成した方が良いに決まっていますが、プロセスの次なのです。

プロセスをどんな気持ちで過ごしてきたか、これは長い長い時間です。結果は一瞬とも言えます。
でも、長いプロセスを面白く過ごしてきたら、達成しない方がおかしい。結局は達成するのだろうと思います。ただ、プロセスが違う。目的、目標が無いわけじゃない。あるんですが、最重要課題では無い。目標は方向を決めるコンパスの役目に過ぎない。そこに向かうプロセスを面白くする事がもっと重要ではないかと思うのですが。

日本一周を目標にしたら、それが出来るようになるまでは、今できるデイセーリングや近場のクルージングを出来るだけ多くやって、それを面白がる事が必要ではないか?そしてそれを徐々に延ばしてみるのも方法です。そして、はれて引退の暁には、実行に移す。何が何でも達成するという気持ちもすごいもんですが、途中でやめる事になったとしても、その航程が面白く感じられたのであれば、それはそれでOKなのではないでしょうか?何が何でもは、何かを犠牲にしかねない。面白さを犠牲にすると、達成できても、その後が?

当たり前ですが、人生は死ぬまで続く。夢や目標は、人生という時間においては、やっぱり、これらもプロセスの一部でもあります。死ぬまで、面白、おかしく過ごせれば最高ですね。何を達成してきたかも大事でしょうが、長いプロセスがどうだったかの方が大切ではないかと思うのですが。

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