第四話 It's A SHOW TIME

ヨットを知らない人にとって、ヨットは異次元の乗り物かもしれません。それだけに期待します。その期待は豪華なキャビンやたくさんのご馳走では無く、異次元の感覚ではないでしょうか?これまでに味わった事の無い感覚、そこに最も期待しているのではないかと思います。主役は何と言っても、セーリングにあると思います。

そこで、ゲストを招待する時、これはショータイムです。エンターテインメントです。そしてオーナーはエンターテナーになります。ご馳走はこのショーが終わってからです。オーナーは実に簡単そうに、ヨットを出し、セールを展開、そして舵を操作しながら、セーリングの醍醐味を味合わせてあげる。時に多少のスプレーがかかろうとも、水族館のイルカショーなんか最前列はびしょ濡れです。でも、みんな喜んでる。これはショーなのです。

しばらく走ったら、今度はシートを引いたり、出したり、ショーに参加してもらいます。飲み物なんか奨めてる場合じゃありません。ジブシートを、メインをオーナーの指示で操作してもらいましょう。何故、そうするのかも教えてあげましょう。これで、ゲストはすっかり、ショーに参加できます。次の段階は舵を持ってもらう。真っ直ぐ走る事を指示します。これが以外にすぐできる人も居れば、いつまでたっても蛇行する人が居る。真っ直ぐ走れる人は褒め称えて、その気にさせて、蛇行する人には、真っ直ぐ走るのは案外難しい事だと説明します。そしてコツを教えてあげます。

SHOW TIMEは穏やかさだけではゲストは飽きてしまいますから、少しエキサイティングな面を見せるぐらいが良い。そしてオーナーは常に、にこやかでなければなりません。余裕を見せていなければなりません。スプレー浴びても、大笑いでなければなりません。何しろ、エンターテナーなのですから。面白い演出が必要なのです。乗れば良いなんてのは、最初の30分が良いとこでしょう。

オーナーの合図でタックを試みる。これにも是非参加させた方が良い。ただの重しでは面白くありません。という事は、ゲストの人数も考えなければなりませんね。大勢載せるとこうはいきません。ひとりかふたりか、大勢いると目が届きません。大きなヨットでも、コクピットは一杯で、身動き取れなくなります。大勢乗る時は、それこそ乗るだけになってしまう。

シングルで乗れる方は、ゲストを2,3人くらいにして、各ポジションに分けて参加してもらうとか。オーナーは各人の動きに合わせて、舵操作。逆に、舵を任せたら、それに合わせてシート操作。動かすという操作と、セーリングの面白さを少しでも解っていただければと思います。

ヨットは乗せてもらって面白いのは最初の30分、それからは自分も参加していかないと、最初の面白さも減衰していきます。そこに魚の群れが現れたり、イルカでも出ようもんなら、それでも充分なエンターテインメントになるわけですが、そんな事はありません。あくまで、海と海から見た風景と自分達しかい無い。変わらない海と風景が続けば、そんなにエキサイティングでは無くなります。
ですから、オーナーはエンターテナーにならなければなりません。ゲストには楽しんで帰ってもらいたい。例え、スプレー浴びたり、ヒールしたりのスリルを味わったとしても、きっと後で、良い思い出になると思います。そういう事を知っていればこそ、穏やかな時、夕日を浴びてセーリングする時、その穏やかさもまた楽しむ事ができるのではないでしょうか?

エキサイティングに走るヨット、ヨットはそうやって走るものだし、それでも平気なんだという事を、それどころが、そこが面白いんだという事を教えてあげます。それ以上は、ゲストがどんな感じを持ったかは、知ったこっちゃありません。ヨットはそういうものだという事です。それをオーナーは喜々として楽しんでいるという事です。みんながみんな面白がるわけではありませんが、少なくとも、何らかの思い出は残るはずです。それでも、2時間かそこいらのセーリングを楽しんだ後は、マリーナに帰って、そして、コクピットでみんなで食事したり、おしゃべりを楽しむ。

ところで、最近では酒を飲めなくなりましたが、昨日、オーナーお奨めのビールを飲みました。完全にノンアルコール、麒麟の最新ビールでした。確かにアルコール分は無いのですが、従来の若干アルコールを含んだビールよりもビールらしい味。これが人気で、酒屋も品切れだとか、一度試されたらいかがでしょうか?やっぱり、ヨットにはビールがあった方が良い。みんなと食事するもビールがあった方が良い。酔わないビールは、どうかな?でも、無いよりまし。これからはビールの季節でもありますし。酒飲めない方にも、ちょっと味わってみたらどうでしょう。別に麒麟の回し者ではありません。

さて、セーリングを楽しんで、その後の食事、セーリングが充実していますと、この食事も楽しいものになるでしょう。簡単な食事でも良い。セーリングが最大のご馳走ですから、他に何が要るでしょうか?多くの方が、ゲストが来ると穏やかに、穏やかに、飲み物と食事を一杯準備されます。しかし、これは大きな勘違いなのではないかと思うのですが。セーリングはショーなのです。ゲストはそのショーを楽しみに来る。そして、セーリングは観客として見ても、あまり面白く無いのですが、その面白さが解らないのですが、参加しますと全然違います。参加型のショー。It's A SHOW TIME. 

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