第五十三話 ドジャー考

クルージング艇にコクピットドジャーは、もうかなり定着してきました。もう、かなり前ですが、アメリカのヨットにドジャーがついてきた。始めての時はドジャーが何かさえも知らなかったわけですが、これはまた便利な物を考える人が居たもんだ。

雨が降ったら、陰に避け、スプレーが飛んできたら、その陰に避け、寒い時にも風避けに、何かと重宝します。それから、続々と輸入されるヨットには、このドジャーが設置されてきました。

  入り口をすっぽり覆うドジャーはクルージン
  グには重宝しますね。でも、もうちょっと考え
  ますと、確かに、旅をするのには良い。それ
  は乗り手の気持ちが快適な旅を期待してい
  ますから。旅には必需品と言っても良いくら
  い役に立ちます。

  雨の降る、寒い、夜、ドジャーがあるかない
  かとでは雲泥の差であります。

  ところで、セーリングについてはどうでしょう
  か?クルージングでは無く、デイセーリング
  として、セーリングそのものを楽しむ時です。
  こういう時というのは、旅とは違う心構えが
  あると思います。もちろん、嫌な思いは誰でもしたくはありませんが、面白いセーリングを味わいたいと思います。そういう時、雨になったり、スプレー浴びたり、そういう事がたいした嫌な思いを作らないのではないでしょうか?場合によっては、それもセーリングの面白さになる可能性があります。

何を対象にしてセーリングするかによって、ドジャーは重宝であり、無くても良い物であったり、或いは、場合によっては、無い方が良い場合もある。爽やかな風の時、風を感じたい時、ドジャーは無粋であります。よって、旅とセーリングで、使い分ける。セーリングの時はたたんで、直接風を感じ、旅の時は、設置して、快適さを感じる。

通常、クルージングを主とされる方が、デイセーリングをする時、通常の延長にある為、スプレーを浴びると、不快を感じられる。だから、やっぱりドジャーがほしいとなります。でも、今日はセーリング。クルージングではないと意識してみてください。そのスプレーも何か違った感じになるかもしれません。何を目的としてしているか?その目的を明確にすればする程、否、きちんと意識するだけで、自分の心がそこに整う事になります。それによって、より良くその目的を達成する事ができるのではないかと思います。すると、ドジャーがあった方が良いか、むしろ無い方が良いか、明確に解るのではないかと思います。それによって、スプレーが不快だったり、快だったりするのではないかと思います。

ところで、このドジャー、福岡には良い作り手が居ます。ステンレスフレームを造っても、キャンバスをパンと張って作るのはなかなか難しい。キャンバスが平面では無く、3次元になります。でも、福岡には良い職人さんが居ます。遠い方には残念ですが。
旅にはドジャーを、セーリングには風と視界を。

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