第七十九話 クルージング艇VS.デイセーラー

この二つのジャンルは、結構オーバーラップする部分も多いかと思いますが、クルージング艇は日常にデイセーリングをして、たまに沿岸の旅に出る。外洋は全く別の話です。デイセーラーはセーリングを楽しみ、たまに沿岸の旅も味わう。違いは、クルージング艇は旅に重点を置き、デイセーラーはセーリングに重点を置いています。

旅も頻繁に行くとか、ちょっと期間が長いとか、そういう事を重視すれば、クルージング艇が良い事になります。そうなりますと、ギャレーも生きるし、冷蔵庫も、温水も有難い。広いキャビンは走る時は別にしても、寝泊りの時は有難い事になります。この点においては、デイセーラーは負けてしまいます。サイズの割りにはキャビンは小さい、ギャレーはシンプル。

一方、セーリングに重点を置いて、日常に遊びたいと思う場合は、断然デイセーラーに軍配が上がります。これはクルージング艇とは全く異なる。

この二つはどっちにでも使う事ができます。旅かセーリングか、どっちを重視するかの問題になります。セーリングちょっとで、旅一杯なら、クルージング艇、旅がちょっとでセーリング一杯なら、デイセーラー、そういう事かと思います。

それで、多くの方々は、旅と言っても、近場であるケースが多いし、それなら、デイセーラーで通常はセーリングを一杯楽しんで、旅もちょっと楽しめるというのが、使い方としては多いような気もしないではありません。それで、デイセーラーも別の呼び方で、ウィークエンダーとも言われます。まして、ホテルにでも泊まるなら、ゆったり寝る事もできます。

本来なら、このデイセーラー/ウィークエンダーコンセプトは、すごく流行っても良いのではと思うのですが、残念ながら、目に見える範囲では、物に対して価格が高いように見えます。それが難点です。キャビンは狭い、内装はシンプル、なのに何故高いのか?これが流行るのをこばんでいるかと思います。しかしながら、セーリングに重点を置いた場合、前話でもかきました船体の堅さ、それでいて重量の軽さが重要になり、どうしても高くなる。内装家具はそうでも無いんです。ギャレーのコンロや、オーブン、温水や冷蔵庫、そういう物をいろいろ積み込んだとしても、価格的にはそうたいした事は無い。でも、見た目にはアピール度が高い。そこですね。

ですから、デイセーラーを選ぶのは簡単ではありません。解っていないとできません。日本も歴史が短いとはいえ、だんだん解る人が増えてきました。そういう意味ではデイセーラーは21世紀のヨットだと思っています。もっと進むと、いろんな方々が、自分の使い方に明確さをもって、対応するようになり、そうなりますと、デイセーラーの存在は大きいと思っています。

それで、もし、デイセーラーを大量生産的に作りますと、これがまた違う様相を持つようになると思います。それは、強度を保てなくなるとかです。すると、フィーリングはまた違ったものになっていく。
やっぱり、セーリングを重視するなら、セールフィーリングは重要ですから、そうも行かない。何か全く新しい工法で、安く、強くできる工法でもできれば別ですが。それが望まれます。多分、デイセーラーはマイナーであり続けるでしょう。でも、それが価値ある証拠でしょう。

でも、サイズを落としてでも、デイセーラーのセーリングを味わうという方法があります。そうしてでも、セーリングにはその価値があると思います。セールフィーリング、何とも良い感じ。

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