第五十四話 習慣にひと工夫

習慣というのは恐ろしいもので、普段やっている事、やり方などが、いろんな事を限定してしまう。マンネリになります。恐ろしいことはそのマンネリにも気付かない事がある。解っていながら、今は他の方法が見つからないのであれば、それはそれで良いのでしょうが、何も気付かないという事もあります。

習慣を解っていて、それで良いというのならOKですが、ある時をきっかけに気付かされる事もあります。いつもこうする。しかし、他の人の違うやり方を見てはじめて気付きます。いつも柔軟な姿勢でいられればと思います。そこがまた難しい。慣性の法則というのがありますから。なかなか、習慣は変えられない。強い意志と柔軟な姿勢、それに好奇心も必要でしょうね。

でも、そうあっても何か大きな事があるのかと言いますと、それは解りません。でも、ちょっとだけでも改善されて、面白くなると、それでも充分ではないかと思います。メリットがあるか無いかより、その方が面白そうかどうか?そういう習慣を持つと持たないでは大きな違いかもしれません。事は小さくても、自分の感じの中では大きくなる可能性があります。生きていくうえで、面白いというのはとっても大事な事かと思います。

天気の良い日に、何気なく友人を誘い、何気なくセーリングしてくる。それも楽しい。それが面白いと思えるうちはこれで良いと思いますが、もし、何か、マンネリとか退屈感とか、少しでも気付いたら、その習慣を少し変えてみるという手があります。違う人を誘う、ひとりで出て見る、セーリングに集中してみる、レースに出て見る、凝った弁当を用意するというのもひとつの方法でしょう。いつもの習慣にちょっと何か味付けしてみる。簡単な事でも、そういう柔軟な姿勢が、いつかは、これだという自分に合った面白い何かが発見できるかもしれません。大事な事は自分の習慣に気付く事でしょう。意識する事かと思います。

習慣は持って生まれた性格と、過去の経験から造られてきました。性格は変えられなくとも、経験は世の中のたくさんの事の中のほんのわずかな一部しか経験していないわけで、そこに外部刺激があると、自分の性格さえも、新しい何かが出てくる事がある。これはもともとあったもので、外部刺激がそれを表面に浮き出してきたに過ぎない。つまり、自分自身さえも解っていないという事になります。という事は、自分の面白さはどこにあるのかは、どんな外部刺激を得るかによって、花開くか、蕾のままか、芽も出ないか、という事になりはしないか。

何でも良いし、つまらん事でも良いし、何かひと工夫して、習慣に味付けをするという事を意識しておくだけで、面白さを発見できる準備ができるのではないかと思います。それに、自分の習慣というものを、どんな習慣なのかを意識してみるというのも良いんではないでしょうか?

土日しか乗れない。たまに平日に休みとって、だれも居ない海をセーリングしてみるとか。船内で料理をしてみるとか、一晩泊まってみる、ヨットで読書をしてみる、何もしないでコクピットでぼ〜っとしてみる、ひたすらセーリングに集中してみる、他の誰かを誘ってみる、掃除をする、手入れをする、宴会をする、どこかに行ってみる、何かすぐにできる習慣とは違う事に、やってみるという姿勢を持てば、すぐには変わらないでも、何かが違ってくるかもしれません。ところが、これが案外難しい。言うは易しですが。でも、それがまた習慣となって、この繰り返しをしながら、何か面白い事を発見して頂きたいと思います。

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