第五十九話 トレンド

 今度はオランダからデイセーラーが登場しまし
  た。33フィートあります。クラシックなラインに
  40%のバラスト比、このヨットについては現在
  調査中であります。

  こうなってきますと、どうやらデイセーラーは
  世界的な流れのひとつの兆しが見えます。こ
  のヨットについては、また後日ご報告ができ
  ると思います。

  さて、世界の流れはこのデイセーラーだけでは
  無いようです。こういうデイセーラーで、セーリ
 
ングを楽しもうとするグループと、一方では50フィート前後の大きなサイズもかなり売れ行きが良いようです。それで、各造船所も昨今では、50フィートサイズが新規に随分とデビューしています。アメリカでは、40フィート以下が減少している反面、50フィートサイズは大きく伸びてきているという報告があります。

デイセーラーに対して、ビッグボートというトレンド、これは何を意味するのか?勝手な解釈をしますと、使い方が近場の場合は単なるクルージングボートというより、もっと面白いセーリングをしたいというグループが増えている。また、昨今では電動ウィンチやメインファーラー等が当たり前の時代となり、それらのパワーアシストがあれば、クルーにそれほど頼る事無く、2,3人でも楽に動かせるようになってきた。そういう事実が、一部ではビッグボートを広く受け入れさせる要素にもなってきた。もちろん、ビッグサイズは金額も高いですから、それらが主流にはならないとは思いますが、これらパワーアシストはミッドサイズからビッグサイズへの流れを作っているとは思います。

このどちらにも言える事は、クルーが不要か、或いはショートハンドでOKという事です。ミッドサイズを動かすより、パワーアシストのあるビッグサイズの方が遥に楽に動かせる。ミッドサイズというのは、最も需要のある分野で、価格競争も激しい。もちろん、オーナーの選択によってパワーアシストを装備できるかもしれませんが、この30フィートあたりから40フィートぐらいまでのレンジは需要も大きく、購入者も価格に最も敏感ですから、パワーアシストが当たり前とはいかないでしょう。この当たりの動きが今度どうなるか?電動ウィンチがあれば便利だけれども、そこまで必要か?50フィートなら躊躇無く電動にしたいところですが。

クルー不足の中、メインを上げる、シートを引く、そういう力仕事は年齢と共に億劫になります。若い人達はレースに興じ、通常のクルージング艇にはクルー不足が生じる。ミッドサイズに電動ウィンチやバウスラスター、電動アンカーウィンドラス等を設置していくと価格が上がる。余裕のある人はビッグサイズに行き、もうビッグサイズが不要になった人達がデイセーラーに移行している。実は、デイセーラーの最も多くの人達は、元はビッグボートオーナーが主流です。

かくて、ここに循環が見られます。小さなヨットから始め、徐々に大きくして、ミッドサイズまで来たら、その一部はビッグボートに行き、そして最後はデイセーラーになっていく?

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