第五十三話 お国事情

北欧に住む日本人の方からメールを頂いた事がありますが、向こうではサマーハウスを持つのは普通の事で、長期の夏休みが普通で、ヨットを持つ事も珍しい事では無いそうです。そんな羨ましい生活が何故可能なのか?日本ではみんな一生懸命働いて、小さな家で、サマーハウスなんかありませんし、ヨットなんかは贅沢な部類。何が違うのか?土地の価格の問題でしょうか?日本は何でも物価が高いのが原因でしょうか?

事情はどうであれ、我々は日本に住む国民ですから、他国はどうでも、日本でより快適を目指す。他国を羨ましがっても仕方ありません。目指すはヨット遊びが普通になる事であります。それにはヨットの維持費が安くなる事。否、安く保管できる所を選択する事ができる事でしょう。高いマリーナもある、贅沢な設備、高級なクラブハウス、そんなマリーナがあっても良いし、同時に、安い庶民的マリーナも選択できるようでなければなりません。前にも書きましたが、全ての漁港の半分のスペースを安く開放する。その費用が漁港の収入になれば、漁協も利益を得る事ができる。あまったスペースの有効利用です。日本全国の漁港ですから、その収納数たるやものすごい数です。そうしますと車を買う感覚で、ヨットが買える。そうしますと小型ヨットもどんどん売れる。そして誰でも、好きなら、ちょいと乗れるお気軽自転車の感覚でヨット遊びができます。

数が増えると、ヨットに対する意識も変わる。ヨット遊びは普通の遊びのひとつになり、レジャーのひとつ。人が動けばビジネスが発展し、ヨットも売れれば、そこに来る人を目当てに、いろんな商売も増え、お金が動く、そうしますと政府にも税収が増えてみんなハッピーであります。

漁港にはエンターテインメント性は無い。オーナー達自らが作り上げなければなりません。一方、こうなると高いお金を取るマリーナもぼ〜っとはしておられません。マリーナ自体のブランドを上げ、エンターテインメント性を上げ、お金さえあれば、そのマリーナに置き、そのマリーナが形成する社会に入りたい、なんて思わせる必要がある。すると、変わりますね。変わらなければ閑古鳥が鳴くようになる。

しかしながら、そのずっと前に、今あるヨットのオーナーの方々が、もっとヨットを何らかの方法で使って楽しんでもらう事が必要になる。週末の上天気の時に、マリーナが閑散としているようではいかんわけで、それは何故か、と考える必要がある。みんな週末はどこに行っているんだろう?それに、若い世代がどんどん少なくなってきた。ヨットは年を取り、オーナーの平均年齢も上がっている。兎に角、若い世代が入ってくる事と新艇が入ってくる事、これらの刺激、新しい血が必要です。さて、どうしたもんか、いつも結論が出無いままですが。

ヨットの遊び方が一様であります。ある方がトリマランを望んである。ハイスピードを求めてのスポーツセーリングです。こういう方々が増えてきますと、刺激になる。クルージング艇とレース艇の間に、スポーツヨットを増やす。スポーツヨットと言っても一様ではありません。このトリマラン、カタマラン、デイセーラー、その中には70%のバラスト比を持つヨットもある。日本はヨットをいつの間にか、レースか旅と分けてしまいました。そうでは無くて、そこにはもうひとつスポーツという乗り方がある。ここには若い世代が刺激を受ける要素がある。そういうジャンルが確立すれば、もっと事情は変わっていくのではないかと思います。

何もスポーツヨットで無くてもスポーツはできる。のんびりと、たまにはエキサイティングに、それがもっと面白くなるとスポーツ性能の高いヨットにも目が向いていく。ヨット界には刺激が必要です。別荘地に行きますと、別荘が点在していますが、閑散としている事が多い。まるでマリーナと同じじゃないか?中には庭には草が生い茂っている家もある。船底が汚れまくっているのと同じじゃないか。別荘地とマリーナには共通する何かが欠けているのかもしれません。

別荘を建てる時、ちょっと遊び心を出してログハウスにしたり、エアコンあるのに暖炉を作ったり、庭でバーベキューなんかも考えます。ヨットは、クルージングを想像し、キャビンでの団欒なども考える。考えてみればそう違いは無いかもしれません。都会から離れ、静かな雰囲気、ゆったり、のんびり、自然、美しい山々、或いは海、そこで過ごす自分の姿、何と心安らぐ事でしょうか。でも、そこには何かが足りない。欧米人と違って、そこにじっとしていられないのが日本人ではないか?

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