第七十四話 エネルギー=面白さ

遊びが無駄とするなら、その遊びに大金をかけるなんて行為は端から見れば馬鹿馬鹿しいが、嫌々、実はとってもかっこいいかと思います。無駄な事にだれもお金を、しかも大金をはたきたくは無い。それが例え好きな事であってもです。そこにポンと出せるなんてことはそうそう誰にでもできる行為ではありません。もったいないかな?と思うものです。そこにポンと出せるところがまずかっこいいわけです。役立つものなら、誰でもできます。でも、役立たない物にはできません。

それで本当に遊びが役立たないかと言えば、とんでも無い。とっても役に立つ。ただ、その役立ち方が解るか解らないか?見えないだけにわかりにくい。それを感性を磨くという事で、とっても役に立つといいました。美しいヨットを手に入れて嬉しさを感じ、載ってセーリングの感触に宵、スリルを感じ、感性が磨かれる。それを無駄と見るか、役に立つと見るか?そんな事が、エネルギー生み、そこからアイデアを生み、自分の個性を感じ、面白さを感じるようになるのではないかと思います。

そうで無いのなら、これだけ世界の人々がやる理由が他にあるでしょうか?役立つからやる、役に立たないからやらないでは無く、面白いからやる。面白いというのはそんなエネルギーの宝庫ではないかと思います。面白い=楽しい+感動+スリル+恐怖+辛さ+繊細+・・・・・・・・・・。あらゆる感情を合計したもので、全部ひっくるめて面白いです。全部味わうからこそ、またカッコ良い。

エネルギーは買う事ができないし、ルール化する事もできない。工場で生産する事もできないし、言われて出てくるものでも無い。どうしたら出てくるかは、面白さの中にある。エネルギーは全ての源であるし、その源のエネルギーは面白いという感情から充電されるのではないか?面白いと感じれば、人は何だってやってのける。アイデアも絞り出す。否、湧き出てくる。勇気も出るし、個性も出る。忍耐強さも、チャレンジ精神も出る。何だって出るんです。

社会のエネルギーはオイル、風力、水力、地熱、いろいろですが、人間のエネルギーは面白いという感情が最も強力、まあ、オイルに匹敵するのではないかと思いますね。もちろん、飯も食わないといけませんが。日本にエネルギーは殆どありませんが、このエネルギーだけは作り出す事ができる。自分でできる。ひとりでもできる。

ヨットの持つ面白さは、他とは違って、ただ楽しいだけじゃない。そこがまた良い所です。雨が降れば濡れるし、寒さも暑さもある。それをひっくるめて尚且つそれでも面白いと思えると、まあ程度問題ですが、その充電力は強力だと思いますね。

そう考えるならば、ヨットは便利なヨットよりも面白いヨットが良い。便利は否定しません、それどころか大歓迎です。でも、面白さが無いといけません。で、何が面白いかと言って、セーリングに勝るものは無い。ですから、セーリングこそが面白く無いといけません。エアコンの効いたキャビンも良いんですが、それだけでは面白くは無い。是非、セーリングの繊細さから豪快さまで、じっくりと味わって頂きたいと思います。

舵誌の3月号にブレンタ38が紹介されました。アレリオン28も出ています。ヨット界もようやくそういう時代になってきた。これからヨットはますます面白くなりそうです。

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