第七十一話 パック旅行

昔の海外旅行と言えば、1週間ぐらいの期間に、何箇所も回るというのが普通でした。せっかく行くなら、パリだけじゃもったいないので、ロンドンも、ローマも、あっちこっちに行きたくなります。もったいないですからね、せっかく行くのに。でも、実際は、確かに、いろんな所を見て回ったが、バタバタして疲れたなんて印象の方が強かったりします。

最近の旅行では、何箇所も回るというより、絞って、じっくりというのも多くなったようです。それに、もっとエキゾチックな場所、或いは、何かをする目的で行くとかです。まだ海外に行った事が無い時は、あっちこっちに一辺に行くきたくなりますが、回数を重ねる度に、もう海外が珍しくなくなったから、もっとゆっくり、じっくり、なんて風に変わってきた。

この事は、何も海外旅行に限らず、全てにおいても言える事です。最初は何でもかんでも求めますので、ひとつの事にたくさん詰め込む。しかし、それに慣れてきますと、自分のその物であれ、何であれ、それらに対する感性が解ってきて、どこかに絞りこんでいきます。

ヨットに対して、セーリングは当然にしても、キャビンを求め、クルージングを求め、別荘を求め、中で寝泊り、パーティー、ファミリークルージング、できるだけひとつのヨットに全てをつぎ込もうと考えてきました。そして、それらをもっと拡充させる為に、もっと大きなヨット、いつかは、大きなヨットと考えてきました。たくさん詰め込むには、できるだけ大きなヨットの方が良いわけです。大きければ、大きい程、たくさん詰め込める。

しかしながら、こにも同じように流れが少し変わります。日本もヨット歴が少しづつ積み重なり、他と同じように、何でもでは無く、絞り込んで、そこをじっくり楽しみたいに、ほんのわずかですが変化が見られます。つまり、何でもかんでもは、最初のさわり程度で充分と感じてきます。慣れていけば行くほど、絞るようになる。そして、絞り込んだ点をじっくりと味わいたくなるからです。

この事が、ヨットにバラエティーさを生み出すように促す。パイロットハウス、カタマラン、デイセーラーもそのひとつ、モーターセーラーもあります。ヨットにおいて焦点を絞るというのは、どういう事かを考えた場合、まずはセーリングに絞る、キャビンライフに絞る、沿岸の旅に絞る、外洋の旅にしぼるなどがあります。ヨットにある程度経験を積んでこられた方々は、いろんな乗り方において、もっとも気に入ったのは何かという事に気がついてこられたと思います。すると、流れは少しづつですが、そういうもっと絞り込んだ、コンセプトの明確なヨットがでてくると思います。

もちろん、従来からのヨットもそのままあります。それらが減少するという意味ではありません。できれば、新規参入者がどんどん増えていく事を願っていますから、彼らは、そういうコンセプトの明確なヨットよりも、オールラウンダーの方を好むでしょうから、そういうヨットも増えてほしいと思います。結局、今は少しづつ、慣れて来た方々が出て来られました。その始まりなような気がします。

それがもっと進みますと、最初からいろんな使い方が明確で、充実していて、みんながそれぞれいろんな遊び方をやっているようになると、今度は初心者の方々も選択は違ってくるだろうと思います。最初から、オールラウンダーを選択せずに、いきなり、ある特定のヨットになって行く可能性も高くなっていくだろうと思います。そうなってくるともう成熟期に入ったと言えるでしょう。まだまだ先の話、何十年か先の事だろうとは思いますが。今は、導入期が終わり、成熟期の入り口あたりかなと思いますね。

これから成熟期が上昇するにあたって、いろんなヨットが出てくる。そこで、当社としてはデイセーラーと前話のヨットマンズボート、クルージングにはいっその事ヨットマンズボートの方が使い易いのでは?そして、外洋の旅にはボートでは無理なので、外洋艇という事になる。

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