第六十一話 オートパイロットの役目

クルージングヨットにはオートパイロットがついてる事が多くなりました。そこでオートパイロットについて考えてみます。真っ直ぐ走りながら、この針路を保持したい時に、スイッチオン。舵から手を離しても、オーパイは設定されたコンパス針路を走り続けます。波があって、多少横に振られても、ちゃんと舵を切って、元の針路に戻す。舵を切りたい時は、ボタンを押せば任意の角度だけ針路を変更して、新しい設定の進路でまた真っ直ぐ走る。飯も食わず、文句も言わず、夏の暑さにも、冬の寒さにも負けない、優れた奴です。

但し、これを使うのは人間です。この優れた機械、どんなに優れていようが、使い方が重要かと思います。優れた機械ですから、オーパイに任せておけば、へたな人間より真っ直ぐ走ってくれる。舵を機械に任せて、自分はセール操作ができる。ギャレーに行って、何か取ってくる事もできる。
給料の要らないクルーみたいな奴です。便利です。しかし、使うのは人間です。こいつは人間じゃない。クルーでも無い。

何の為にヨットに乗るのか?それ次第です。それ次第によっては、舵を任せても良いし、舵を任せてはもったいない。何時間もひとりで舵を握り続けるのは大変。ロングに行く時はそうでしょう。特にロングに行く時はエンジンを駆けている時が多い。そんな時は奴に任せてしまう。こちらは、のんびり、コーヒーでも飲みながら、あたりを見回して、ゆったり。

でも、もし、セーリングを楽しむ為に出たのなら、極力自分で舵を握った方が良い。それが目的なんですから。その感触を味わう。微妙な変化を味わう。力のかかり具合を味わう。機械に任せたら、そんな味わいを持つ事はできません。セーリングは味わいに行くのですから。せいぜい、セールの上げ下ろしの時ぐらいか、ちょっと用足しの時ぐらいでしょうか。

ヨットの中でも、セーリングを味わう時、これはできるだけ自分の手で舵を握るのが原則だと思います。同じセーリングでも、今日は、何かのんびりしたい。そんな時は奴に働いてもらうのも良いでしょう。要は、自分で使い分けていくのが良い。何を目的にセーリングしているのか、或いはヨットに乗っているのか?それに応じて、オートパイロットも使い分けた方が良いと思います。

使い分けるという意味では、乗り方も同じで、クルージングしているのか、セーリングしているのか、集いを楽しんでいるのか、それらも使い分けでメリハリのある使い方をした方が、それぞれを楽しめるかと思います。

最近、オートパイロットに、ケーブル無しのラジコン式のリモコンがありますね。あれは、使い方によっては便利そうな。バウからでも舵のコントロールができる。あるオーナーですが、カタマランを所有されて、バウに行って、そこで座って、そこからリモコンで舵操作をしている人が居ましたね。

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