第三十五話 長期間の趣味

ヨット始めて、1年だけやろうなんて事を考える人は居ないでしょう。始める時は解らないが、数年から或いは5年や10年、20年という事になると思います。それで、最初の2,3年だけを遊ぶ時の使い方と長期になる場合の使い方は当然ながら違ってきます。

2,3年なら、何をやっても楽しい。家族も仲間もある程度は集まる。食事したり、泊まったり、いろいろ楽しむ事ができます。しかしながら、その先になりますと、段々、家族や仲間にとっても新鮮味が無くなり、来る回数も減ってくるというのが、おおかたの現状です。

実は、これから先がオーナーの真の遊びが始る事になります。家族が来る、仲間が来る時だけヨットに乗るか、或いは、来ない時の乗り方をどうするかです。クルーを募集して、レースに参加する人も居るでしょう。シングルハンドになっていく人も居る。ここから先、さて、どうするか?これから先の方が長い年月です。

考えてみれば、毎週、毎週、何年にも渡って、家族や仲間が来る方が可笑しい。何故なら、彼らが好きで買ったヨットでは無いからです。お客さんです。お客さんは、たまに来て、良い時を過ごせれば、それで良いわけです。まるでチャーターヨットのようにです。でも、オーナーは違う。好きで買ったヨットです。趣味です。最初の時を過ぎてこそ、趣味としての本格的スタートになるわけです。
ですから、ここから先をどうやって過ごしていくかによって、充実したヨットライフになるかどうかが決まってきます。

例えば、ひとりで近所を走る。エンジンで行くなら、慣れるに従って面白味に欠けて来る。仲間が来た時は走る事では無く、仲間が来る事が楽しい。それがセーリングで走るなら状況は少し異なる。
でも、漫然と走るなら、これもまた慣れるに従って、面白味にかける。それで、変化を場所に求めるのが一般的かと思います。行き先の変化です。でも、それも限界がある。何年もかかって、そうたくさん行ける場所も近所には無くなる。

これを過ぎますと、ロングの旅か、セーリングを楽しむか、或いは乗らなくなるかではないかと思います。ロングは人によって時間の問題もあります。それで、乗らない人が多くなった。セーリング自体を楽しむという行為をあまり重要視していなかった。レースはしないという事で。でも、家族や仲間は滅多に来ない、ロングに行く暇も無い、だとしたら、セーリングするしか無いんです。

クルージングの方々に、セーリング自体を楽しむという事をもう一度考えていただきたいと思います。レースで無くとも、セーリング自体を楽しむという事を考えて頂きたい。レースでは無いから、バタバタする必要も無く、ただ、その時の風と、自分の操作と、帆走を味わって頂きたいと思います。
それだけで充分面白いかどうかは、自分次第です。移動ばかりを意識していると、いつも見慣れた風景ですが、帆走、いかに帆走するかを意識して、操作と動きを楽しんで頂きたいと思います。それなら、遠くに行く必要も無いわけです。忙しい方もできる。ヨットがあれば誰でもできる。こうしたら、スピードが少し上がったとか、いろいろ勉強して、面白さを自分で工夫していく必要があります。
これがあるから、10年、20年と続ける事ができます。無ければ、惰性で乗るぐらいでしょうか?それでも乗るだけましですが。何でもそうですが、面白く無いと続くものでは無い。

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