第二十話 ビッグボート

シングルハンドや高性能の小さいヨットなどを見直すという事を書いてきました。別に大きなヨットが嫌いというわけではありません。大きなヨットはそれで面白いし、迫力のあるセーリングをする事もできます。でも、大人数をいつもキープしておくのは大変な事で、費用もかかります。

ならば、艤装にお金をかけて、クルーはひとり、つまりダブルハンドのビッグボートセーリングというのも有りかと思います。とにかく、小さくても、大きくても、人数は最小限で動かせる。そういう基本を得ておきますと、その分自由度が高まると思います。

ビッグボートについては、とにかくパワーが必要です。セールを上げる時、シートを引く時、そのパワーは大変なもので、たとえ大きなウィンチが備わっていたとしても、結構大変です。それで電動ウィンチを利用して、それらの作業を楽にこなす事が多いに役に立つと思います。それに大きなヨットをたった二人で操船しているという、そういう満足感もあります。

電動ウィンチがあると、メインをファーラーにする必要性も薄れてきます。ボタンひとつで簡単にセールを上げる事ができます。ジェノアシートにしてもそうです。風を一杯受けて走っている時、リリースはともかく、ちょっとシートを引きたい時、ボタンを押すか、ウィンチハンドを必死になって回すかは大きな違い、へたすると、まあ、いいか、という具合にしなくなる事もある。そうなると、セーリングを遊ぶという観点で考えると、遊びが減少していく事に繋がります。

セーリングを遊ぶという事は、いろんな操作を遊ぶ事です。その反応を面白がり、試行錯誤して、より良いセーリングを見つけ、その走りを感じ、楽しむ事だと思います。その為に、いろんな事を仕方なしにやるのでは無く、やれば面白いからやるわけです。

 写真のヨットはスワン53です。このヨットに
 オーナーと二人で乗っていた事があります。
 そして、殆どはデイセーリングが主でした。

 ジブファーラー、メインファーラー、シートウィ
 ンチ等々、殆どが油圧式で、ボタンひとつ。
 ですから、かなり楽に操作できて、豪快な走
 りを体験できました。その気になれば、大き
 なヨットでも気楽に出す事ができます。何しろ、 セーリングに苦労しないのですから、ちょっと
 良い風が吹いてきたら、何の躊躇も無く、す
 ぐに出せる。
 それでレースに出た事もあります。マストトップ  から展開するでっかいジェネカーも展開しまし
 た。それもこれも、でっかいヨットながら楽な操作のお陰かなと思います。これがセール上げるだけでしんどい思いをするとなると、こうはいかなかったと思います。それとでっかいヨットを動かすのに、クルー集めをしなかった事もあります。もし、クルーを集めて運営していますと、クルーの維持に苦労したかもしれません。とにかく、最低人数、二人で、楽に操作できる事。このお陰だったと思います。このヨットを小さいサイズと同じように、タックを繰り返したり、ブイ周りをしたり、それこそ、いろいろ扱ったものです。それがとっても面白かったからです。

今更、きつい目にあってでも根性でやるなんて事は長続きしませんから、楽に、でも面白く。サイズが小さくなれば電動なんてのは不要になります。それはそれで自分の手でじかに感じる事ができますから面白い。そしてでかいのは電動を使って、気楽に出せるように考える。とにかくセーリングを遊ぶのが目的です。 

これなら体力に自信の無い方でもできます。テニスやってる方がよっぽど体力は必要かと思いますね。

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