第三十八話 ヨットのちょっと注意点

ベテランの方々でも案外注意されていな事、基本的な事、絶対必要な事があります。ヨットに来たらまずビルジを確認する。そしてヨットを離れる前にも確認する。前見た時との変化を確認する事は当然です。そして、溜まったビルジが海水か真水か舐めて確認します。それによって対応すべき事柄を狭める事ができます。でも、案外見ない人は実に多い。

エンジンで走っていても、風向きを確認する。これも無頓着な方は多い。何故か?例えば、陸が遠い場所ならいざしらず、すぐ陸に近い場所を走っている場合、風向きが海側から陸に吹いている場合、もし、エンジンが停止したら、どんどん陸側に流されます。これはエンジンが停止しないという条件の下で走ってますが、何があるかわかりません。エンジン停止したら、アンカーをうって、ながされるのを止める。そうしないと座礁します。或いは、すぐにセールを出して帆走にする。座礁する前に、そういう余裕が必要になります。実際、こういう事で座礁してしまったヨットがあります。ちょっと注意しておけば防げた事故です。

ジブファーラーはセールを上げっぱなしです。へたすると何年もそのままという事もある。でも、ジブハリヤードはいつも同じ箇所をマスト出口のシーブで擦れています。それで、切れ掛かっている場合もあり、上げっぱなしですから気づかない。それに比べるとメインはその都度上げますから、発見しやすいです。ハリヤードはちょっと長めにしておく。こういう場合、切れ掛かっている箇所をカットして使えますが、ハリヤードが短いとロープ1本全部交換しなければ届かないという事も有り得る。
エンジンでバッテリーを充電する。この時、2個のバッテリーがあると、バッテリースイッチをBOTHにしておくと、片方のバッテリーが満杯になると、もう片方の充電はしなくなります。2個とも同じぐらいの減り方なら問題は無いでしょうが。もちろん、これらを防ぐ機器もあります。オルタネーターはアイドリング程度の回転ではたいして発電しない。回転を少しあげておきましょう。それに長時間アイドリングにしておくとカーボンが溜まるので、時々、30分に1回ぐらいふかす。長期間回さないとオイルが下がってしまうので、時々エンジンをかける。この目的なら5分も回せばOK. これをしないとエンジン内部のシリンダーの壁についたオイルは下がり、冬場は結露をおこし、これが原因でサビる。その後エンジン回すとシリンダーにキズがつく。ひどいと圧が逃げる。

動く機器類は動かしてやるのが最も良いメインテナンスかもしれません。使わないと固着する。それを無理矢理動かして、壊してしまう。使わないのが最もいけません。使って、メインテナンスして、消耗品は交換する。この時は消耗品ですみますが、へたすると全部交換なんて事になりかねない。海水は塩分があります、これが乾燥してしまうと塩が固まってしまう。

船底のバルブも時々回す。これもほったらかしにしますと、動かなくなります。特に、エンジンの冷却水バルブは開けっ放しが多いので、時々バルブは動かさないと、閉める事ができなくなったら、困る事が出てきます。

プロペラシャフトのスタンチューブの海水漏れを確認します。これもわずか一滴づつとたかをくくっていたら、もう大変、一晩で大量になる事があります。ビルジ確認にもつながる事です。

スペアーとしてはインペラとベルト、これはもっておいた方が良い。いつ交換の必要性がでるかわかりませんから。あるヨットはひと夏に3回ぐらいインペラが駄目になった事があります。

日頃のメインテナンスは掃除です。サビてないかなど、オイルが漏れていたりとか、そういう事がすぐに解りますので、初期発見で対応ができます。難しい事をする事も無く、日頃から気をつければ防げる事も多いので、当たり前のように、チェックをする習慣をもつようにされればと思います。

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