第二十四話 夏はサンセットセーリング

最近の夏は30度を越える事が日常的になり、何ら不思議さを感じませんが、昔は30度を越える事はそうはありませんでした。暑くなりましね。昼間のヨットハーバーは暑くて、暑くて、たまりません。それに風もそうは無い。こんな日にセーリングに出るのは地獄です。それで、多くのヨットがビミニトップを設置するようになりましたね。

博多は7時過ぎまでまだ明るく、そうなら、夕方からのサンセットセーリングなら、陽も柔らかく涼しいので、もってこいのセーリングになります。仕事早めに終わったら、今日は夕方からサンセットセーリングをしに行く。これって、最高じゃないでしょうか。博多のマリーナは中心街から非常に近いので、そういう事が可能です。でも、誰もやってませんが。わざわざ昼間の暑い時に行かなくても良い。博多の夏はオフシーズンです。でも、夕方ならOKです。少しづつ沈む夕日を見ながらののんびりセーリングも悪くない。でも誰もしないのは何故か? それはセーリングがカジュアルでは無いからじゃないかと思いますね。マリーナが近くに無い方はこうはいかないと思いますが、近くにある方は是非、一度やってみてはいかがでしょう。

サンセットクルージングという言葉は良く聞きますが、実際はあまり誰もやってないようです。昼間か夜か、という具合で、夜は怖いので昼間のみという方は多い。知らない所へ行く時は明るいうちにつきたいですが、ホームポートなら熟知しているでしょうから、是非、サンセットセーリングを試して頂きたい。秋なんかは夕日がとってもきれいです。その為に気持ちを軽く、カジュアルに、そしてその為にもヨットを自由自在に動かせるようになっておきたいものです。

でっかいキャビンでエアコン付き、これもそれなりの楽しみ方があります。でも、シングルハンドで自由自在を目指し、セーリングを堪能しておく。そうすると、気持ちが軽くなり、ちょっとあいた時間にも気軽に出せるようになる。すると、サンセットセーリングなんかもすぐに出れる。奥さんか、彼女か乗せて、気軽なピクニックセーリング、たまにはこういうのも悪くないと思いますよ。日差しも柔らかいので、それ程日焼けも気にする事もないでしょう。

車でドライブして、加速を楽しみ、ハンドル捌きを楽しみ、スピードを楽しむ。こんなドライブにはスポーツカーが最適です。それと同じように、ヨットでやるというのはいかがでしょう。ちょっと小さめのシングルハンド艇、美しいヨットで、同じようにセーリングを楽しんで帰ってくる。その為には気軽になれるように、普段からヨットに慣れておく必要があります。シングルハンドはゲストを招待した時にも絶大な威力を発揮します。彼女には何もせずにコクピットに座ってもらって、オーナーはパパッと係留ロープをといて出す。さっとセールを上げて、エンジンを切る。自由自在にセーリングを堪能します。わずか1時間か2時間程度でも良いわけです。そんな事が全く重荷にならない。車を出すような気軽さでヨットを出す。そうなれれば非常に楽しいセーリングが頻繁に味わう事ができます。
時にスポーツセーリング、時にピクニックセーリング。確かに、帰ってきてエアコン付きのキャビンで寛ぐ事はできませんが、それなら、さっとマリーナを後にして、エアコンの効いたレストランにでも行けば良いわけですから。大きなヨットのように、出航の前と後にいろんな作業なんかしなくて良いわけです。簡単です。気楽が一番。

セーリングヨットで気軽にセーリングを楽しみましょう。使い方はいろいろできます。夏を過ぎればエアコンなんか不要です。キャビンが無いわけじゃない。ちょっと狭いだけです。それより気軽なセーリングと、コクピットでの寛ぎは全く問題ない。

気軽さを演出する為には、大きすぎないヨットというのは重要です。ボリュームに圧倒されては、ヨットを知ってる誰かに手伝ってもらわないと出せない。それでは気軽さは無くなります。キャビンヨットはキャビンヨットの使い方があります。セーリングヨットはセーリングヨットの使い方がある。どちらが上でも下でも無い。ただ、違うというだけです。そして自分がどっちの方が自分のスタイルであるかを考えて、自分に合うスタイルを楽しむ。

最近のでかいキャビンヨットを見ますと、確かに快適だろうなと思います。でも、一体どうやって使いこなせばいいんだろうか?仲間の都合がつかない時、何とか一人で出したとしても、気軽に楽しめるだろうか?シートを扱う度にオートパイロット、それも可能ではありますが、面白味という点では自分で舵持った方が面白そうだし、使いこなす自信はありません。仲間と乗る時は楽しいし、気軽にもなれる。でも、一体どのくらいチャンスがあるだろうか。ちょっと遠出の時、エンジンで走る。限られた時間ですから仕方ありません。でも、行った先では快適です。ホテルに泊まらなくても、エアコンの入ったキャビンで寝る事ができる。

一方、私の言うセーリングヨットは快適キャビンでは無い。日常にセーリングを堪能する事が主です。ですから日常には最高に使える道具です。ちょっと遠出する時、やっぱりエンジンかけて行くでしょう。時間が限られてますから。着いた先でもエアコンキャビンなんかありません。でも、割り切ってホテルに泊まって、ご馳走食べて、ゆっくり寝る。そういう割り切りでもいいかなと思います。でも、夏を過ぎれば、夜は涼しいです。

年に何回遠出するかという事と、日常の使い勝手とをトータルで考えた場合、人それぞれの事情はありますが、やはり、日常にいかにセーリングを気軽に堪能できるかに軍配を上げます。クルーの居ない時でも気軽なシングルハンド、サンセットドライブ、コクピットでの寛ぎ、キャビンも一泊か2泊程度までなら使える。たまになら、キャンプ気分で楽しめる。何を優先するかによって選択は違います。私はセーリング優先。それも面白いセーリング、自由自在のセーリング、それにヨットが全てではありません。他にもしたい事はあります。ですから全てをヨットには求めない。ヨットのヨットたる所以、その真髄だけを気軽に楽しめるようにしたい。そう思います。それに彼女とサンセットセーリングを楽しみたい時、いちいちクルーを呼ぶのも無粋です。

次へ     目次へ