第二十一話 これまでのヨットを卒業した方へ

デイセーリングという言葉は、これまでレーサーでも無く、クルーザーでも無い、小さなヨットを表す言葉として使われてきました。しかし、新しいセーリングスタイルの、エレガントで、足の速いヨットを表現するには充分ではありません。それで、セレクトセーリングという言葉をつける事にしました。
その時の気分、スケジュール、天候などにあわせたセーリングです。従来のレースやクルージングなどは個人の好みやスケジュールなどが重要などでは無く、時間やクルーメンバーのスケジュールであったりハプニングに左右されていたものです。セレクトセーラーに合わせる為にはシングルハンドでの操作性の容易さ、スピード、そして美しさが必要と考え、これまでとは異なるアプローチで船体、デッキ、インテリアを建造しています。

広いコクピット、これは多くの時間を過ごす場所であり、心地良い空間でなければなりません。オーシャンクルージングなどはプランには無いのです。インテリアはシンプルでありながらスタイリッシュであり、機能的でもあります。シングルハンドを容易にする為に、すべてのコントロールはコクピットに集中させ、ゲストを招待するも良し、でもクルーは必要が無い。豪華な食事や温水のシャワーなど、そういう物を卒業した方へのヨットです。

これはアレリオンの責任者、ホイト氏の言葉です。レースでも無い、クルージングでも無い、シングルでデイセーリングを堪能するに新しいジャンルのヨットを示唆しています。従来の小さなヨットでは無く、大きなヨットでも、気軽に、シングルでセーリングを楽しめる。大きなキャビンでは無く、セーリングそのものを楽しむ時代に、そういうヨットを建造した。それがアレリオンです。暖かい食事や寒い時にホットシャワーは有り難い。でも、そういうのを卒業して、純粋にセーリングの面白さを堪能しようという誘いです。他人のスケジュールに左右される事無く、他人のセーリングの仕方に左右される事無く、自分のスタイルで、自分が好きな時に、いつでもセーリングを楽しめる。それも高い帆走性能で、シングルが容易で、何といっても美しいヨット、セーリングする姿をダンスと表現しています。

こういう乗り方が何故、今まで無かったか。それは大きなキャビンが人を迷わせたのだろうと思います。キャビンの誘惑は人を住まわせる誘惑をし、大きなサイズは外洋を思わせた。そして、それが夢だとも語った。しかしながら、現実では多くの方々はヨットに住まないし、外洋に行く暇も無い。かと言って、その大きなヨットは日頃のセーリングには気が重すぎた。だから、クルーが必要だし、そうなるとクルーの都合をみなきゃならない。クルー達がのんびりしたければ、そうなってしまう。一体、俺のスケジュールと俺のスタイルはどこに行ったのか、それなら一人でセーリングした方がましだ。でも、これまでは小さなヨットしかなかった。それがシングルハンドと呼ばれ、デイセーラーと呼ばれていた。コンセプトは良い。しかし、もう少し大きめのヨットがほしい。シングルでの操作の容易さ、帆走性能の高さ、スタビリティーの高さ、そしてビッグボートに負けない存在感と美しさがほしい。それで生まれたのがアレリオンです。

ビデオを見てますと、実に自由自在に走り回っている姿を見る事ができます。確かに、ダンス、踊っているかのように、美しい姿を見せる。セーリングしながら簡単に360度回転して見せてくれたり
縦横無尽、楽しそうで、面白そうで、こんな自由自在のヨットはありません。だから、成功したのでしょう。この面白さ、この楽しさ、それを教えてくれます。

ヨットで提供される広いキャビン、パーティー、住まう、外洋、そういう物を卒業した方に、自由自在のセーリングを、ヨット初めての方に、セーリングの楽しさを与えてくれる。それでて高い帆走性能で頑丈な船体で、高い安定性を誇る。アメリカではワンデザインレースができる程に進水艇数が増え、独自のレースを楽しみ、日常は気軽なセーリングを自由自在に楽しんでいます。この自由自在と気軽さが必要なんです。でっかいキャビンより自由自在セーリングです。

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