第十九話 ノルディックフォーク艤装

標準はウッドマストだが、今回はアルミマストに変更しました。でも、プロファイルは全く同じで、ジャンパーステイが1ペアー、マストはスルーデッキで、フォアステーと斜め後部へのサイドステー、この3本のみでしっかり固定され、かなり太いステイです。バックステーはマストベンドに使うのみです。
テーパーのかかったマストを使ってます。

 見えてるのが前側です。スプレッダーの根元からフォア  ステー、サイドステー、スプレッダーの先端ワイヤーはジ ャンパーです。

 マストが貫通するデッキの穴は120mm、この部位のマ スト径は100mm、通常はこの隙間にくさびを入れてマ ストをデッキ貫通部で固定するのですが、これはサイドス テイをしっかり引いて、デッキの穴の後端にあてて固定し ます。つまり、マストの前側と両サイドには隙間をあけた まま。これによって、ダウンウィンドの時、軽風ではその ままですが、強風時にはマストが前側に行って、マストベ ンドとなる。これが、フォークボートのやり方です。

 ちょっと変わった所では、メインセールをウィンチ無しの 手だけで上げて、セールが上がりきった所で、ハリヤー ドにアイがあり、これを左写真のマスト右側に見えるレバ ーにかけて、レバーを下に下げてテンションをかける。
 セールのラフのさらなるテンションはカニンガムで調整。
 ジブセールもジブハリヤードにアイがあり、そのアイをマ ストについたレールのフックにかけ、それをテンションは
 コクピットから引く。全てブロックでテークルが組まれ、楽 にコクピットから引いてテンションがかけられるよぷにな っています。最初はちょっと他の一般的方式とは違うの で戸惑うかもしれませんが、実に合理的にできてる。こ  れが、完成されていると言われる所以かもしれません。


クラシックな重いヨットです。でも、これは昔はレーサーだった。今から思うとそうは見えないが、りっぱなスポーツヨットだったのです。それで、そういう遊び方ができるヨットです。マストをベンドさせるのはクルージング艇ではあまり考えないかもしれませんが、強風時にベンドさせる事によって、セールはフラットになり、ドラフトが浅くなりますので、大きなヒールを避ける事ができる。

メインのカニンガムとジブのハリヤードテンションアジャスターでドラフト位置を簡単に調整できるし、マストをベンドさせる事によって簡単にドラフト調整ができる。クルージングであっても、それをする事によって、強風時でも楽に帆走できるようになる。このヨットは風速20mぐらいまでフルセールで走れると言われます。それ以上になったら、ジブを下ろしなさいと言われます。でも、まあ、こんな天候で出る人も居ないでしょう。極めて強風に強いヨットなのです。

それで軽風の時は、と言いますと、実際重いヨットなので、速いとは言いがたい。でも、水面が近いので、感覚としては結構走ってるなという感じがします。面白いヨットです。

前話でのバウの写真をご覧になれば、大きなオーバーハングが見える。これで海水がデッキ上にあがりにくくなり、V型船型は波に対して非常に柔らかい。それにクリンカー形状のハルは強度もある。実に面白いヨットです。

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