第七十五話 感性が一番
| 品質がどうこう、構造とか工法とか、素材とか、散々ごたくを並べましたが、それは 理屈での話です。頭で考えて、比べるならば、こう言わざるを得ません。しかしなが ら、ヨットという物は遊びである為、遊びは心で感じるものでありますので、理屈が 優先しても、決して正解とはならない事があります。頭脳は正解という結論に達し ますが、感性に違和感があるなら、トータルで言うなら不正解という事になります。 つまり、誰が見て見てもブスだし、性格も悪いのに、でも好きになる男が居る。 どうひいき目に見ても、あのだらしない男に美人がくっつく。それでも有りなのです。 お似合いと思われたカップルが離婚をする事だってある。人間は理屈では割り切れ 無いものですね。 そこで、今まで書いてきた能書きは一旦忘れて下さい。そして、自分の感性が響く ヨットをまず第一に見つける。そして、その候補がひとつでは無く、複数あって、迷う 時、今度は頭脳で考えて、構造や品質、性能、そういう物に利用していくというのが 本当に自分に合うヨットを見つける方法ではないかと思います。 感性で探すには、できるだけ頭脳が入り込まないように、先入観を持たないように 直感で選ぶ。何人乗れるとか、どこそこが広いとか、何がついてるとか、全く関係 無い。そうやって選ぶのが良いと思います。だいたい理屈は、自分が感性で選んだ ヨットを間違いないと自分で確信したい為に役立てている事の方が多いのではない かと思います。理屈抜きで、何となくでも、気に入った、気になる、そういうヨットに出 会う事が大切ではないかと思いますね。でも、これが簡単では無いかもしれません。 自分が気がつかないうちに、頭脳が先入観を植え付けてきます。まあ、最初はそれも 仕方ないかも知れませんね。その時選んだヨットも、その時点では、自分に相応しい のかもしれません。感性が充分に働かなかった。それも自己責任です。但し、最後は 自分で選ぶという主体性で、決める。 いつかは外洋に行こうと思って探してたが、デイセーラーを気に入ってしまった。それ なら、気に入ったデイセーラーにすべきと思います。今の感性はデイセーラーを求めた のですから、それが今の自分には相応しいと考えます。そして、いつか、本気で外洋 に行こうという時がきたら、きっと相応しい別のヨットが気になりだすでしょう。それがそ の時に相応しいヨットになります。買い換えたらもったいないと思うかもしれません。 でも、今、外洋艇を手に入れたとしても、今楽しめて、将来もそのまま引き続き楽しめる という保証は何も無い。今デイセーラーが気に入ったのなら、今はデイセーリングで ヨットを楽しむのが正解だと思います。 いかがでしょうか。感性はいつも最適なヨットを選択できる。そう信じてはいかがでしょう か？信じれば、それが正解ですし、信じないなら、頭脳で選ぶしかありません。でも、 喜びを感じるのは感性です。人は理屈で割り切れる程単純では無い。だからこそ、 セーリングで感動できるんです。感動は理屈ではできません。 まあ、いろいろかっこつけてごたくを並べましたが、肝心なのは好きなヨットに乗るとい う事、これが一番だと思います。これを言っちゃ、何も他の理屈を言えなくなりますので 理屈をこねくり回して遊んでいただけなのです。それを言っちゃお終いよ。お終いにしたく 無いので、また何かごたくを並べると思いますが、ご勘弁。 |