第五十一話 デイセーラーと外洋ヨット

当社ではデイセーラーの他に外洋艇も扱っておりますので、その事も書いて
おかなければなりません。デイセーリングの事ばかり書くので、その他を否定
していると思われたくは無いのです。決して、否定はいたしません。船旅として
のヨットの楽しみもあります。大いなる冒険でもあります。それぞれが他の用
途もできますが、そのコンセプトに合致した使い方において、最もその特徴が
発揮される。

外洋艇の特徴ですが、何日も陸に上がらず走りっぱなしです。という事は必ず
時化にも合うでしょう、エンジンは使わないのでセーリングします。エンジンは
バッテリー充電に使うぐらい、燃料補給ができませんから。セーリングするに
しても、デイセーリングのような細か操作は何日も続く航程では、疲れてしまう
ので、まあ適当になる事をやむを得ない。

快晴の凪ばかりならどんなヨットでも構わないのですが、そうはいきませんので、
時化に強いヨットという事になるでしょう。重心が低いヨット、頑丈なヨット、それで
もセーリングしますので、セーリングは遅いより速い方が、より早く目的地に到達
できます。わずか1ノットの差が1日で24マイル、10日なら240マイルの差をな
って現れます。これは大きいでしょう。昔は頑丈ならセーリングは二の次だった
かもしれませんが、今では頑丈であり、尚且つそこそこ走るというヨットがあります。
技術進歩のお陰です。もちろん、工法も多いに影響を与えます。船体そのものが
厚く衝撃に強いというのもあるでしょうし、バルクヘッドがきちんと船底やデッキに
ラミネートされ、家具までも全てラミネートして剛性を高めているのもある。こうい
うヨットは時化の中を実際にはしってみると、やはり違うんですね。波にもまれ
叩かれても、でも安心です。コクピットもやたら広いのは考え物、時化の中では
適度に狭く、深い方が安心感があります。何時間、或いは、何日も時化が続いた
ら、この違いは実に有難い。

また、こういうしっかりしたヨットは、高寿命である事も付け加えておきます。20年
とか古い艇を見ても、全く狂いとか、そういう物がない。外的影響も受けにくいので
設置された部品とかもトラブルが少ないような気がします。

外洋ヨット、おおいに結構です。デイセーリングとはまた違う、別の世界を見せてくれ
ます。暇とお金があったら、しっかりした外洋艇で、それもでかいやつで、南の島々
をゆったりと巡るというのも、ヨットの醍醐味のひとつでしょうね。実際に行った人を
知っていますが、彼は、また稼いで行きたいと言ってます。

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