第三十四話 デイセーラーの可能性

土日が休みとはいえ、泊まりでしょっちゅう出掛ける事は無いでしょう。たいていは日帰り
のデイセーリングになると思います。仮に5ノット平均で走るにしても、直線距離で8時間
走って40マイル、往復ですから、片道20マイルという事になります。

この20マイルの圏内に何があるでしょうか?ちょっと寄って食事をするとか、そういう行
ける場所というのがどのくらいあるでしょう。場所にもよるとは思いますが、そう多くは無い
と思いますし、あっても、同じ場所ばかりであきてきます。それに実際は20マイル圏内と
いうのはエンジンででも行かない限り、そううまくは行きません。エンジンで行ったのでは
面白くありませんので、セーリングで行く。そうすると必ずしも目的地にストレートで行ける
というケースの方が少ないので、実際はもっと狭い範囲内になります。

つまり、デイセーリングで行ける範囲というのはしれたものという事になります。それでは
10マイル圏内というのではどうでょうか。直線で往復4時間、でも実際はもっとかかるで
しょう。もう少し狭めても良いでしょうね。

何が言いたいかといいますと、デイセーリングにおける行動範囲は狭い、よってこの範囲
内で寄れる場所も多くは無い。でも、日常を楽しむには、この範囲内のセーリングをいか
に面白いものに演出できるかにかかっていると思います。そこで、どこかに寄って上陸して
飯でも食うなんてのは限られてくるし、同じ場所ばかりでも飽きてくるので、主体を別に置く
事になります。つまり、それがセーリング自体を楽しもうという理由です。

島がこの圏内にあるなら、それを回ってくるも良し、無ければ、何かの目印かブイ周りも良し
とにかく、セーリング自体を面白い物に演出していく必要があると思います。そうでなければ
ただ、のんびりと、ぶらぶらするしかない。それも時には良いでしょうが、それだけでは物足
りない。これが今までの現状ではないかと思います。

島回りにしても、ブイ回りにしても、楽しむ為に、効率よく回る、より速く走ってみる。そうすると
だんだんセーリング自体の腕の上達という事に繋がると思います。いかに速くと考えると、それ
を実行する為には学び、実行を繰り返す必要がありますから、それを実行していくと、前回より
遅かった、速かった、潮流、風向き、風速、そういう事も学んでくる。それに加えて、セールの
トリミング、タッキング、ジャイブ、ジェネカーの使い方、そういう物が使いたくなる。使えば、より
うまく使えるようになりたいし、うまく使えるようになると面白い。上達こそがセーリングの面白味
に一味も二味も加わってくるし、そうやってセーリングしていると、時折、良い風とぴったり合った
セールと舵、それで最高の走りを味わえる時がきます。それは今まで味わった事の無いような
古い言葉ですがしびれるような感覚です。

こういう乗り方を日常していますと、飽きることが無いと思います。より向上を目指し、試行錯誤
しながら、自分でセーリングを演出して、自分で面白いものをつくりあげる。そして、時折ゲスト
がきたならのんびりでも良いし、まとまった休みがとれたらちょっと遠出もできる。そう考えると
日常は2,3時間でも充分なのです。それもシングルでマスターしておけば、それも自由自在を
目指していれば、どんなケースでも対応できるようになります。まさに鬼に金棒です。

今年は是非、スポーツセーリングで遊びましょう。

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