第六十二話 若者からOLD

スポーツ、スポーツと言ってますが、若者はそれで良い。と言いましても、ヨット界は
60代でも若者の部類かもしれませんが、70代ともなるとそうもいかんよ、と言うむき
もある。まあ、確かに、肉体的な衰えは隠せない。しかし、ジョギングするでしょう。
人によってはジムに行って泳いだり、りっぱなスポーツを自分のペースでされている。
ヨットもそれと同じで、自分なりのスポーツとするのが良いと思います。

サイズを少し落として、或いは、電動を使っても良い、とにかく、ここで言うスポーツと
は自分のペースで、ただふわふわ浮いて、漂っているのでは無く、セーリングをしよう
堪能しようという事です。御年配でもヨットに乗ろうと言う意気込みのある方なら、自分
の体力に合わせて、見合うセーリングをするのが良い。御年配でも、ベテランになると
セーリングも余計な体力を使う事無く、省エネルギーで、うまいこと乗られる。

ヨットは自分のペースでスポーツできる。ただ、若者はもちろん、御年配の方々にも
セーリングを自分のペースで、セーリングに意識を持って楽しんで頂きたいと思います。
第一、スポーツカーは若者より熟年の方が良く似合う。ヨットもスポーツヨットは熟年の
方が乗ってると実に格好良いじゃないですか。

クラシックなクルージング艇も良い。それはそれで良い。ゆっくりでも良い。ただ、意識は
セーリングにある方が絶対面白いと思います。

御年配の方々がパイロットハウスやモーターセーラーを好まれる事も解ります。たくさん
の時間があって、あっちこっち漫遊しようというのであれば、それも良い。エンジンで行く
のですからそれも良い。でも、遠くに行く事があまり無い方、殆どは近郊を走る方、デイ
セーリングが多い方、そういう方々には、若者とか年配とかは関係なく、セーリングに意
識を置く方が面白いと思います。楽しめると思います。遠くへ行く時は、心は外にある。
回りの風景や行った先の目的地にある。でも、近場は見慣れた風景、意識は会話や
ビールやそんな所にある。そうでは無くて、近場は意識をセーリングにおいてください。
という事です。刻々と変化する状況に、より良い調和を目指してセーリングをする。それ
がゆっくりでも結構、自分のペースでセーリングに意識を置いて、スポーツして頂きたい
ジョギングの気持ちで良い。

スポーツというのは有難いもので、競争では無いし、損得勘定も無い。そんな物に意識
を集中させていますと、一種の無意識になる。実際はああでも無い、こうでも無いと考え
ていますが、意識は感覚に集中してくる。そうすると、実に心がリフレッシュされます。
資本主義経済の中で長い間生きてきますと、常に経済を考える。損得を考える。勝つ
か負けるか、利益があるか、そんな事ばかり考えていると気持ちが疲れてくる。しかし、
スポーツは短時間、それに集中する事によって癒してくれます。それがただのんびり
漂っていますと、また余計な事を考える。陸上に居る時とあまり変わりません。経済活動
から考えたら、無駄の何物でもないスポーツは実はありがたい文化です。

それに多くの方々の経済活動のおかげで、体力をあまり要しないように、便利な物がたく
さんあります。その恩恵を多いに利用して、スポーツしようじゃありませんか。サイクリング
に行く、ジョギングに行く、テニス、プール、同じようにセーリングに行こうじゃないですか。
セーリングは他のスポーツより、感覚が大切なスポーツだと思います。何をするかも大事
ですが、そこから来る感覚、自分の感じ、最後はそこに集中する。こんなスポーツは他に
は無い。それが何をもたらすか、是非、やってみてください。実にリフレッシュされる事が
解ると思います。セーリングの最終目的はこれです。ああ、良いセーリングだったと感じた
時、実に充実感を得ます。釣りのように何も得る物は無い。勝ち負けも無い。そんなセー
リングをしているからこそ、キャビンでくつろぐ時、誰かを誘った時、おしゃべりする時、
全てのヨットライフに好影響を与えてくれます。だから、放置する事は無いし、メインテナン
スも楽しめる。ヨットをもっと知りたくなる。好循環になる。

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